昭和三一年大阪市条例第三九号大阪市屋外広告物条例第一三条第一号、第四条第二項第一号、第三項第一号は、憲法第二一条に違反しない。
昭和三一年大阪市条例第三九号大阪市屋外広告物条例第一三条第一号第四条第二項第一号第三項第一号と憲法第二一条
憲法21条,屋外広告物法1条,屋外広告物法2条,大阪市屋外広告物条例1条,大阪市屋外広告物条例13条1号,大阪市屋外広告物条例4条2項1号,大阪市屋外広告物条例3項1号
判旨
都市の美観風致を維持し公衆に対する危害を防止するために屋外広告物の表示を規制することは、公共の福祉のため表現の自由に対し許された必要かつ合理的な制限であり、憲法21条に違反しない。
問題の所在(論点)
営利を目的としない政治的・思想的表現物(ビラ)の貼付を、都市の美観風致維持を目的とする条例によって一律に規制することが、憲法21条1項の保障する表現の自由を不当に侵害しないか。
規範
表現の自由(憲法21条1項)といえども絶対無制約なものではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受ける。都市の美観風致を維持することは公共の福祉に合致する目的であり、この目的達成のために必要かつ合理的な範囲内での規制は合憲である。
重要事実
被告人らは、共謀の上、大阪市内の橋柱、電柱および電信柱の計13箇所に対し、政治的思想を内容とするビラ合計26枚をのりで貼り付けた。この行為は、大阪市屋外広告物条例により貼り紙等の表示が禁止された物件に対する行為であったため、同条例違反として起訴され、罰金刑に処せられた。被告人らは、営利目的のない純粋な思想・政治運動としての表現行為に対する本条例の適用は、憲法21条に違反すると主張して上告した。
事件番号: 昭和47(あ)1564 / 裁判年月日: 昭和48年12月20日 / 結論: 棄却
大阪府屋外広告物法施行条例二条三項一号が憲法二一条および一四条に違反するものでないことは、当裁判所昭和四一年(あ)第五三六号同四三年一二月一八日大法廷判決・刑集二二巻一三号一五四九頁の趣旨に徴して明らかである。
あてはめ
大阪市屋外広告物条例は、屋外広告物法に基づき、都市の美観風致の維持および公衆への危害防止を目的として制定されている。被告人らが政治的意図をもって行った橋柱や電柱等へのビラ貼付行為は、営利目的の有無にかかわらず、都市の美観風致を著しく害する態様といえる。憲法の下で国民の文化的生活の向上を目指す以上、都市の美観を整えることは公共の福祉の保持に資する正当な利益である。したがって、本件のような態様の行為を禁止することは、目的において正当であり、手段においても必要かつ合理的な制限の範囲内にあると解される。
結論
本件条例の規定は憲法21条に違反せず、被告人らの行為を処罰した原判決は妥当である。
実務上の射程
本判決は、表現の内容ではなく「場所」や「方法」に着目した時・所・態様の規制に関する初期の重要判例である。美観風致という抽象的な利益であっても、必要かつ合理的な範囲内であれば表現の自由を制約する根拠になり得ることを示しているが、現代の答案作成においては、さらに「より制限的でない他の選びうる手段(LRA)」の有無や、表現の価値に応じた厳格な審査基準の適用を検討する際の発がかりとして引用すべきである。
事件番号: 平成1(あ)511 / 裁判年月日: 平成4年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】軽犯罪法1条33号及び大阪市屋外広告物条例の規定は、憲法21条および31条に違反せず、表現の自由の不当な制限には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、軽犯罪法1条33号前段(他人の工作物にみだりに広告物等をはりつけた罪)および大阪市屋外広告物条例(許可を受けずに広告物を掲出する等の罪)に違反す…
事件番号: 昭和62(あ)1273 / 裁判年月日: 昭和63年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】軽犯罪法1条33号前段にいう「みだりに」とは、他人の工作物にはり札をするにつき、社会通念上正当な理由があると認められない場合を指し、憲法31条の適正手続に違反しない。また、屋外広告物条例及び同法に基づきはり札行為を処罰することは、表現の自由を保障する憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告…
事件番号: 昭和49(あ)1377 / 裁判年月日: 昭和50年5月29日 / 結論: 棄却
一 大阪市屋外広告物条例(昭和四九年四月一日大阪市条例第三二号による改正前のもの)二条一項、一六条一号は憲法二一条、四条三項、三一条、九四条、四一条に違反しない。 二 被告人に対する本件公訴事実のうち、被告人が大阪市条例によりはり紙の表示が禁止された物件である電柱にビラ五枚を表示した点については、原判決後の法令により刑…
事件番号: 昭和44(あ)893 / 裁判年月日: 昭和45年4月30日 / 結論: 棄却
昭和二四年高知県条例第三七号高知県屋外広告物取締条例三条、四条は、憲法二一条に違反しない。