滋賀県屋外広告物条例の合憲性
憲法13条,憲法14条,憲法21条,憲法31条,滋賀県屋外広告物条例31条2項1号,滋賀県屋外広告物条例4条1項6号,滋賀県屋外広告物条例5条1号,滋賀県屋外広告物条例6条1号
判旨
屋外広告物条例により電柱等への広告物表示を禁止・制限することは、都市の美観風致を維持し公衆に対する危害を防止するという公共の福祉のため、表現の自由を必要かつ合理的範囲内で制限するものであり、憲法21条に違反しない。
問題の所在(論点)
屋外広告物条例が、特定の場所や物件(電柱等)への広告物掲出を禁止・制限し、これに罰則を科すことが、憲法21条が保障する表現の自由や、13条(幸福追求権)、14条(法の下の平等)、31条(適正手続)に違反するか。
規範
表現の自由は絶対無制限ではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な範囲内で制限を受ける。特に屋外広告物の制限は、美観風致の維持や交通の安全確保といった重要な公共の利益を目的とするものであり、その制限が目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、憲法21条等に抵触しない。
重要事実
被告人が、滋賀県屋外広告物条例により広告物の表示が禁止または制限されている電柱等の工作物に対し、許可を受けずに広告物を表示したとして同条例違反に問われた事案。弁護人は、当該条例の規定が憲法13条、14条、21条、31条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
判旨は詳細なあてはめを展開していないが、先行する大法廷判決(最大判昭43.12.18)を引用し、本件条例の制限が公共の福祉に合致すると判断した。すなわち、都市の美観を損ない、あるいは交通の安全を妨げるおそれのある電柱等への無秩序な広告掲示を規制することは、社会全体の利益を守るために必要かつ合理的な制約であると解される。
事件番号: 昭和58(あ)1310 / 裁判年月日: 昭和61年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】屋外広告物条例及び軽犯罪法が定める表現活動の制限規定は、表現の自由を保障する憲法21条1項に違反せず、これを本件に適用することも合憲である。 第1 事案の概要:被告人らは、佐賀県屋外広告物条例が禁止する場所に広告物を掲出し、また軽犯罪法1条33号が規定する「他人の工作物等にみだりに広告物等をはり、…
結論
本件条例の規定は憲法13条、14条、21条、31条に違反せず、合憲である。したがって、被告人の上告は棄却される。
実務上の射程
表現の自由と場所的制約(パブリック・フォーラム論等)が問題となる事案において、美観維持や安全確保という目的による制約の合憲性を肯定する際の根拠として用いる。特に「必要かつ合理的な制限」という緩やかな基準で判断される傾向を示す判例として位置付けられる。
事件番号: 平成1(あ)511 / 裁判年月日: 平成4年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】軽犯罪法1条33号及び大阪市屋外広告物条例の規定は、憲法21条および31条に違反せず、表現の自由の不当な制限には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、軽犯罪法1条33号前段(他人の工作物にみだりに広告物等をはりつけた罪)および大阪市屋外広告物条例(許可を受けずに広告物を掲出する等の罪)に違反す…
事件番号: 昭和47(あ)1564 / 裁判年月日: 昭和48年12月20日 / 結論: 棄却
大阪府屋外広告物法施行条例二条三項一号が憲法二一条および一四条に違反するものでないことは、当裁判所昭和四一年(あ)第五三六号同四三年一二月一八日大法廷判決・刑集二二巻一三号一五四九頁の趣旨に徴して明らかである。
事件番号: 昭和44(あ)893 / 裁判年月日: 昭和45年4月30日 / 結論: 棄却
昭和二四年高知県条例第三七号高知県屋外広告物取締条例三条、四条は、憲法二一条に違反しない。
事件番号: 昭和62(あ)1273 / 裁判年月日: 昭和63年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】軽犯罪法1条33号前段にいう「みだりに」とは、他人の工作物にはり札をするにつき、社会通念上正当な理由があると認められない場合を指し、憲法31条の適正手続に違反しない。また、屋外広告物条例及び同法に基づきはり札行為を処罰することは、表現の自由を保障する憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告…