いわゆる逮捕中求令状起訴により勾留がなされた場合において、これに先だつ逮捕手続の当否は起訴後の勾留の効力に何ら影響を及ぼさない。
いわゆる逮捕中求令状起訴により勾留がなされた場合に逮捕手続の当否は起訴後の勾留の効力に影響を及ぼさないとされた事例
刑訴法60条1項
判旨
起訴後の勾留は、裁判所の審判の必要性という観点から裁判官が独自に職権で判断するものであるため、先行する逮捕手続の当否は、起訴後の勾留の効力に影響を及ぼさない。
問題の所在(論点)
先行する逮捕手続に違法がある場合、その違法が起訴後の勾留(刑事訴訟法60条以下)の効力に承継されるか、あるいは独立した判断として影響を受けないかが問題となる。
規範
起訴後の勾留は、裁判所の審判の必要という観点から裁判官が独自に職権でその要否を判断するものである。したがって、これに先立つ逮捕手続の当否は、起訴後の勾留の効力に何ら影響を及ぼさない。
重要事実
被告人は逮捕状により逮捕された後、刑事訴訟法204条の制限時間内に公訴が提起された。その後、裁判官が発した勾留状により勾留(起訴後勾留)されている。これに対し、被告人側は先行する逮捕手続に違法があるとして、本件勾留の違憲・違法を主張して抗告した。
事件番号: 昭和42(し)26 / 裁判年月日: 昭和42年8月31日 / 結論: 棄却
甲被疑事実による勾留を利用して乙被疑事実につき取り調べた後、いつたん釈放し直ちに乙被疑事実により逮捕勾留した場合において、乙事実について公訴が提起され、その後も勾留理由があるときは、起訴前の段階における右のような勾留およびその勾留中の捜査官の取調べの当否は、起訴後における勾留の効力に影響を及ぼさない。
あてはめ
本件では、被告人は適法に公訴提起された後に裁判官の発した勾留状により勾留されている。起訴後の勾留は、公判審理の確保という独自の目的のために裁判官が職権で行う判断に基づく。そのため、逮捕段階の手続的瑕疵があったとしても、それが当然に起訴後勾留の有効性を左右するものではない。本件における勾留の違法を前提とする主張は、この前提において理由を欠く。
結論
逮捕手続の当否は起訴後の勾留の効力に影響を及ぼさない。したがって、本件勾留は適法であり、抗告は棄却される。
実務上の射程
逮捕から勾留、あるいは起訴前勾留から起訴後勾留への「違法の承継」を否定する法理として、手続の遮断性を論じる際の根拠となる。ただし、重大な違法がある場合に勾留請求そのものを却下すべきとする近時の有力説や実務の動向、および「一税一令の原則」等の論点との関係には注意を要する。
事件番号: 昭和53(し)79 / 裁判年月日: 昭和53年10月31日 / 結論: 棄却
一 勾留期間延長の裁判が従前の勾留期間経過後に準抗告審で取り消され、その決定が検察官に告知されたときは、検察官は直ちに身柄釈放の手続をとらなければならない。 二 勾留期間延長の裁判が準抗告審で取り消されたのにもかかわらず、検察官において釈放の手続をとることなく身柄を拘束していた違法は、判示の事実関係のもとにおいては、そ…
事件番号: 昭和48(し)88 / 裁判年月日: 昭和48年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準抗告棄却決定に対する不服申立てが不適法として棄却され、当該決定が既に確定している場合、これに対する特別抗告の申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、水戸地方裁判所土浦支部が昭和48年8月25日にした準抗告棄却決定に対し、不服申立てを行った。しかし、原決定においてその抗告申立てが不適法…
事件番号: 昭和27(し)36 / 裁判年月日: 昭和27年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴申立期間の経過後に控訴の提起があった場合において、申立人に手落ちがなかったと認められない限り、控訴棄却の決定は正当である。刑事訴訟法に基づく救済措置を求めるには、不備が生じたことについて当事者の責めに帰すべき事由がないことを要する。 第1 事案の概要:申立人は、控訴申立期間を徒過して控訴を提起…
事件番号: 昭和44(し)63 / 裁判年月日: 昭和44年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴前の勾留段階における捜査官の取調べの不当性は、起訴後の勾留の効力に影響を及ぼさない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和44年9月5日に公訴が提起され、以降は「被告人」として勾留されていた。被告人側は、起訴前の勾留段階において捜査官による不当な取調べが行われたことを理由に、現在(起訴後)の勾留の…