弁護士法七二条にいわゆる「業とする」とは、反覆継続して行う意思のもとに同条列記の行為をすることをいうものと解されるところ、およそ、ある種行為に対する反覆継続の意思の有無を認定するにあたつては、当該本人が同種行為をどの程度行つているかを認定するに若くはないのであつて、それが適切な証拠調に基づいて認定されるものである限り、起訴事実以外の被告人の同種行為の存在を間接事実として右意思を認定することを妨げない。
弁護士法七二条の「業とする」の意義と認定証拠
弁護士法72条
判旨
弁護士法72条の「業とする」とは、反復継続して行う意思をもって法律事務を行うことをいい、当該意思の認定にあたっては起訴事実以外の同種行為を間接事実として用いることができる。
問題の所在(論点)
弁護士法72条の「業とする」の意義、および業務性の認定において起訴事実以外の同種行為を証拠として用いることの可否が問題となった。
規範
弁護士法72条にいう「業とする」とは、反復継続して行う意思(反復継続の意思)をもって同条列記の行為をすることをいう。この意思の有無を認定するにあたっては、適式な証拠調べに基づき認定される限り、起訴事実以外の被告人による同種行為の存在を間接事実として用いることができる。
重要事実
被告人は、弁護士資格がないにもかかわらず、報酬を得る目的で約3年間にわたり4回、貸金取立や交通事故の損害賠償請求等の法律事務を取り扱ったとして、弁護士法違反(非弁活動)で起訴された。原審は、被告人と依頼者らの間に特別な人間関係や特殊事情があったことを重視し、「社会生活上の相互扶助の範囲内」であるとして、反復継続の意思(業務性)を否定し、無罪を言い渡した。また、原審は起訴事実以外の同種事実を業務性認定の資料とすることは不当であると判示した。
あてはめ
まず、「業とする」の判断要素である反復継続の意思を認定するためには、本人が同種行為をどの程度行っているかという客観的事実が最も重要である。本件において、被告人は3年間で4回にわたり、貸金取立や損害賠償請求といった多岐にわたる法律事務を報酬目的で行っている。原審が重視した「特別な人間関係」等を考慮しても、これら多数回にわたる同種の行為は、反復継続の意思を推認させるに十分な間接事実となり得る。したがって、起訴事実以外の同種行為を証拠から排除して業務性を否定した原審の判断は、証拠の許容性および事実誤認において誤りがある。
結論
被告人の行為は「業として」行われたものと認められるため、弁護士法72条違反が成立する。原判決を破棄し、有罪とした第一審判決を維持する(控訴棄却)。
実務上の射程
弁護士法72条の「業」の解釈のリーディングケース。答案上では、①主観的要素(反復継続の意思)の定義、②客観的要素(回数・期間等)からの推認、③起訴事実外の事実の証拠能力(間接事実としての利用)という3段階で論じる際に活用する。特に、個人的な人間関係に基づく事務であっても、回数や態様によって「業」に該当し得る点に注意を要する。
事件番号: 昭和44(あ)1124 / 裁判年月日: 昭和46年7月14日 / 結論: 破棄差戻
弁護士法七二条本文は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、業として、同条本文所定の法律事務を取り扱いまたはこれらの周旋をすることを禁止する規定である。
事件番号: 昭和31(ゆ)2 / 裁判年月日: 昭和31年3月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】弁護士でない者が、報酬を得る目的で、他人の債権を譲り受ける形式をとりつつ、実質的にはその回収を業として行う行為は、弁護士法72条の「法律事務」の取扱い(非弁活動)に該当し、禁止される。 第1 事案の概要:被告人は、弁護士資格を有しないにもかかわらず、報酬を得る目的をもって、他人の債権を額面より著し…