憲法三九条違反の主張が欠前提とされた事例
憲法39条
判旨
憲法39条が禁ずる二重処罰とは、同一の犯罪事実について重ねて処罰することを指すが、本件では特定の覚せい剤所持の事実のみを有罪としたに過ぎないため、二重処罰には当たらない。
問題の所在(論点)
特定の犯罪事実について有罪判決を下すことが、憲法39条の禁ずる「同一の犯罪事実について重ねて処罰」することに該当するか(二重処罰の禁止の成否)。
規範
憲法39条後段の二重処罰の禁止は、既に確定した判決がある事件(確定判決の既判力の及ぶ範囲)と「同一の犯罪事実」について、再び刑事責任を追及することを禁ずるものである。
重要事実
被告人は、昭和48年6月7日午後6時40分ころ、自宅において覚せい剤粉末約0.026グラムを所持していた。弁護人は、この処罰が憲法39条に違反する二重処罰であると主張して上告した。
あてはめ
第一審判決は、特定の時間・場所における覚せい剤所持の事実につき被告人を有罪としたものである。判決文によれば、この事実は単一の犯罪事実を構成しており、他の既に処罰された事実と「同一の犯罪事実」について重ねて処罰したものとは認められない。したがって、憲法上の禁止される二重処罰の前提を欠いていると評価される。
結論
本件における有罪判決は、同一の犯罪事実について重ねて被告人を処罰するものではないため、憲法39条に違反しない。
実務上の射程
憲法39条の論点において、単一の起訴事実に対する処罰が二重処罰に当たらないことを示す極めて簡潔な事例判断として引用し得る。実務上は一事不再理(刑訴法337条1号)との関係で議論されるが、本判決は憲法解釈として前提事実の欠如を指摘するに留まっている。
事件番号: 昭和53(あ)766 / 裁判年月日: 昭和53年9月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法39条後段の二重処罰の禁止は、確定判決によって既に実質上処罰された事実についてのみ適用される。本件のように、後の審級で主張された事実が確定判決により実質的に処罰されたものと言えない場合には、同条違反の問題は生じない。 第1 事案の概要:被告人が刑事被告事件において、憲法39条後段違反(二重処罰…
事件番号: 昭和49(あ)1757 / 裁判年月日: 昭和49年11月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑において被告人の前科・前歴を考慮することは、直ちに憲法14条(法の下の平等)や39条(二重処罰の禁止)に抵触するものではなく、過度な考慮がなされない限り適法である。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件により起訴され、下級審において有罪判決を受けた際、その量刑において被告人の有する前科および前歴…