戸別訪問の禁止処罰が憲法二一条に違反しないとされた事例
憲法21条
判旨
公職選挙法138条が定める戸別訪問の禁止、及び同法129条が定める選挙運動期間の制限は、憲法21条に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法138条による戸別訪問の禁止、および同法129条による選挙運動期間の制限が、憲法21条(表現の自由)に違反するか。
規範
公職選挙法による戸別訪問の禁止および選挙運動期間の制限は、選挙の公正を確保し、過熱した選挙運動による弊害を防止するという正当な目的のための合理的で必要最小限度の制限であり、憲法21条の表現の自由を侵害するものではない。
重要事実
被告人が公職選挙法に違反して戸別訪問(同法138条違反)および選挙運動期間外の選挙運動(同法129条違反)を行い、罰則規定(同法239条1号、3号)の適用を受けた事案。弁護人は、これらの禁止規定が憲法21条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
判例(昭和44年4月23日大法廷判決)の趣旨に照らせば、戸別訪問の禁止は、買収や利益誘導の温床となりやすく、また私生活の平穏を乱すおそれがあることから、選挙の自由と公正を保つために設けられた制約である。また、選挙運動期間の制限についても、運動の激化に伴う弊害を防止し、候補者間の平等を確保する目的がある。これらの制限は、表現の自由の重要性を考慮してもなお、公共の福祉に基づく合理的かつ必要不可欠な制約といえる。
結論
公職選挙法138条、129条、およびこれに対応する罰則規定は、いずれも憲法21条に違反しない。
実務上の射程
戸別訪問禁止等の合憲性を肯定した確立した判例として扱う。答案上では、選挙運動という政治的表現であっても、公正な選挙の実現という重要な法益のために合理的範囲内での制約が可能である根拠として引用する。
事件番号: 昭和43(あ)2412 / 裁判年月日: 昭和44年3月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法138条1項および239条3号による戸別訪問の禁止ならびに処罰は、表現の自由を保障する憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、公職選挙法138条1項に違反して選挙運動のために戸別訪問を行ったとして、同法239条3号に基づき起訴された事案。被告人側は、戸別訪問の禁止規定が表現…