上告趣意書に具体的な上告理由の記載がないときは、刑訴規則二四〇条に定める方式に違反し、不適法な上告であり、刑訴法三八六条一項二号、四一四条により棄却すべきものである。
上告趣意書に具体的な上告理由の記載がないときの処理
刑訴法386条1項,刑訴法414条,刑訴規則240条
判旨
刑事訴訟法405条に規定された適法な上告理由に当たらない主張や、刑訴規則240条に定める方式に違反する具体的な理由の記載がない上告は、不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
単なる法令違反や事実誤認の主張が、刑訴法405条の上告理由に該当するか。また、具体的な理由を欠く上告趣意書の提出が、刑訴規則240条の方式に違反するか。
規範
上告の申し立てが適法であるためには、刑事訴訟法405条所定の上告理由(憲法違反、憲法解釈の誤り、または最高裁・大審院判例との相反)に該当する主張を含む必要があり、単なる法令違反や事実誤認の主張はこれに当たらない。また、刑訴規則240条に基づき、上告趣意書には具体的な上告理由を適式に記載しなければならない。
重要事実
被告人が第一審判決の第一の事実および第二の各事実について上告を申し立てた事案。弁護人が提出した上告趣意書において、第一の事実については「単なる法令違反」および「事実誤認」のみを主張し、第二の事実については具体的な上告理由の記載を欠いていた。
事件番号: 昭和52(あ)588 / 裁判年月日: 昭和52年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人が主張する事実誤認、量刑不当、単なる法令違反は、いずれも刑訴法上の適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が、事実誤認および量刑不当を主張して上告を申し立て、また弁護人が、事実誤認および単なる法令違反を主張して上告趣意書等を提出した事案。 第2 問題の所在(論点)…
あてはめ
第一の事実に関する主張は、判例違反や憲法違反をいうものではなく、単なる法令違反や事実誤認の主張に留まるため、刑訴法405条の上告理由には当たらない。また、第二の事実に関しては、具体的な理由の記載が全くないことから、刑訴規則240条に定める適式な上告趣意書の提出があったとは認められない。
結論
本件上告は不適法であり、刑訴法414条、386条1項3号および2号により棄却される。
実務上の射程
上告審における上告理由の適格性および上告趣意書の記載方式という形式的要件を厳格に解する実務運用を確認するものである。
事件番号: 昭和25(れ)1614 / 裁判年月日: 昭和26年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が事実誤認または量刑不当の主張に帰する場合、法令の規定により適法な上告理由とは認められない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、その趣意書の内容が事実の誤認および量刑の不当を主張するものであった事案。 第2 問題の所在(論点):事実誤認または量刑不当の主張が、刑訴応急措置法13条…
事件番号: 昭和30(あ)1146 / 裁判年月日: 昭和30年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条に基づく上告理由の判断において、実質的な事実誤認の主張や証拠の取捨選択に対する不服は、憲法違反を形式的に主張しても適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が、原審の事実認定に誤りがあるとして上告した事案。弁護人は憲法31条違反(適正手続)を主張したが、そ…