新たな証拠の取調べを求める旨の上告趣意が不適法とされた事例
刑訴法298条
判旨
新たな証拠の取調べを求めることは、刑事訴訟法405条所定の上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
被告人が上告審において「新たな証拠の取調べ」を求めることが、刑事訴訟法405条の上告理由として適法か。
規範
上告審において新たな証拠の取調べを求める主張は、刑事訴訟法405条に掲げる憲法違反、憲法解釈の誤り、または最高裁判所若しくは上級裁判所の判例との相反といういずれの上告理由にも該当しない。
重要事実
被告人が、第一審または控訴審までの証拠関係に基づかず、上告審において新たに証拠の取調べを請求し、それに基づく事実誤認等を主張して上告を申し立てた。
あてはめ
本件において被告人が申し立てた「新たな証拠の取調べを求める」旨の主張は、刑事訴訟法405条各号に掲げられた制限された上告理由のいずれにも該当しない。また、訴訟記録を精査しても、職権による破棄事由を定めた刑事訴訟法411条を適用すべき顕著な事由も認められない。
結論
本件上告は、適法な上告理由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
上告審は事後審であり、原則として原判決時における訴訟記録に基づき判断を行うものであるため、上告審段階での新証拠の提出や事実調べの請求は許されないことを確認する実務上の基本原則を示すものである。
事件番号: 昭和48(あ)2841 / 裁判年月日: 昭和49年4月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらない事実誤認の主張や、具体的な上告理由の記載がない書面の提出は、いずれも不適法な上告として棄却される。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てた際、弁護人は上告趣意書において事実誤認のみを主張した。また、被告人本人が提出した「上告趣意書」と題する書面には、…
事件番号: 昭和48(あ)2535 / 裁判年月日: 昭和49年2月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審において主張および判断を経ていない事項に関する憲法違反の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由にあたらない。 第1 事案の概要:被告人側の弁護人が、憲法38条(黙秘権・自白の強要禁止)違反を理由として上告を申し立てたが、当該事項は第一審および控訴審(原審)の審理過程において一度も主張されてお…