国鉄糸崎駅事件
判旨
ピケッティングの正当性を判断するにあたり、その行為が公共企業体等労働関係法17条1項違反の争議行為に際して行われたものであるという事実を考慮に入れることは許される。
問題の所在(論点)
公共企業体等労働関係法17条1項により禁止された争議行為(違法な争議行為)に付随して行われたピケッティングについて、当該争議行為が禁止されているという事実を、ピケッティングの正当性判断において考慮できるか。
規範
労働組合法1条2項の正当性を判断する際、当該行為が法的に禁止された争議行為に伴うものであるか否かという事情は、正当性の有無を判断するための考慮要素となり得る。
重要事実
全逓(東京中央郵便局)の組合員らが、公共企業体等労働関係法(当時)17条1項により禁止されていたストライキを敢行した際、職場への出入りを阻止する等のピケッティングを行った。弁護側は、争議行為自体の違法性はピケッティングの正当性判断に影響しないと主張して上告した。
あてはめ
最高裁は、先行する全逓東京中郵判決(最大判昭41.10.26)を引用しつつ、同判決は「争議行為が違法であるという事実を考慮に入れることが許されない」という趣旨まで示したものではないとした。したがって、ピケッティングの正当性を評価する文脈において、基礎となる争議行為そのものが法的に禁止されている事実は、正当性を否定する方向の事情として考慮されるべきであると解される。
結論
ピケッティングの正当性判断において、当該行為が禁止された争議行為に際して行われた事実を考慮することは許され、本件上告は棄却される。
実務上の射程
公労法下の事案であるが、一般労働法においても争議行為の態様が正当性を欠く場合、それに付随するピケッティングの正当性が否定されやすくなるという判断枠組みを示唆している。答案上は、ピケッティングの正当性を判断する際の「目的の正当性」や「態様の相当性」を検討する過程で、先行する争議行為自体の違法性を考慮要素として組み込む際に活用できる。
事件番号: 昭和39(あ)637 / 裁判年月日: 昭和39年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】労働組合によるピケッティングが、業務に従事しようとする者の自由意思を不法に抑圧し、業務を妨害する態様で行われた場合には、争議権の正当な限界を逸脱し違法となる。 第1 事案の概要:A労働組合の員らである被告人らは、ストライキの実施に際し、ピケ隊を組織して、A株式会社側の業務に従事しようとする従業員ら…
事件番号: 昭和43(あ)1684 / 裁判年月日: 昭和45年7月21日 / 結論: 棄却
公共企業体等労働関係法一七条一項に違反してなされた争議行為についても、労働組合法一条二項の適用がある。