原判決の理由摘示が不十分であるとの違憲主張が前提を欠くとされた事例
憲法31条
判旨
上告趣意において憲法31条、32条違反を主張する点について、原判決がその理由を明示している場合は前提を欠く主張として退けられ、単なる量刑不当の主張は適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
原判決において既に判断が示されている憲法違反の主張、および単なる量刑不当の主張が、刑訴法405条の上告理由として認められるか。
規範
刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当しない主張(単なる量刑不当や、原判決が既に理由を示している憲法違反の主張など)に基づく上告は、棄却を免れない。
重要事実
被告人が、憲法31条(適正手続きの保障)および32条(裁判を受ける権利)の違反、ならびに量刑不当を理由として上告を申し立てた事案。原判決においては、被告人が主張する憲法違反の点について既に理由が示されていた。
あてはめ
まず、憲法31条・32条違反の主張については、原判決の理由中で既に判断が示されていることが明らかである。したがって、憲法違反があるとする主張は、その前提を欠くものと評価される。次に、その他の主張内容は実質的に量刑の不当を訴えるものであるが、これは刑訴法405条各号に掲げられた上告理由のいずれにも該当しない。また、職権で調査しても刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき事由は認められない。
結論
本件上告には刑訴法405条の上告理由がないため、同法414条・386条1項3号により棄却される。
実務上の射程
実務上、上告理由書の作成において、原判決が既に判断を示している事項を単に憲法違反と称して主張することや、死刑以外の事件で単に量刑不当を主張することは適法な理由にならないことを再確認するものである。答案上は、上告理由の適格性を論じる際の消極的例示として参照される。
事件番号: 昭和28(あ)4306 / 裁判年月日: 昭和30年8月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】違憲を主張する上告趣意であっても、その実質が単なる法令違反や量刑不当の主張にすぎない場合は、刑事訴訟法405条の上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:弁護人が、憲法違反を理由として上告を申し立てた事案。上告趣意の第一点および第二点は違憲を主張するものであったが、その実質は法令違反の主張であり…