原審において主張、判断を経ない違憲主張が不適法とされた事例
憲法38条
判旨
憲法38条違反を理由とする上告について、原審において主張および判断を経ていない事項は、適法な上告理由にあたらない。
問題の所在(論点)
原審で主張・判断されていない憲法違反の主張が、刑訴法405条等に基づく適法な上告理由となるか。
規範
上告審は事後審としての性格を有するため、原則として原審において主張され、かつ判断を経ていない事項を上告理由として主張することは、刑訴法上の適法な上告理由にはあたらない。
重要事実
被告人側の弁護人が、憲法38条(黙秘権・自白の強要禁止等)に違反する旨を主張して上告を申し立てた事案。しかし、当該憲法違反の点については、原審(二審)の審理過程において主張されておらず、原判決においてもそれに対する判断はなされていなかった。
あてはめ
本件における弁護人の上告趣意は憲法38条違反をいうものであるが、記録によれば、原審において同条違反に関する主張はなされておらず、原判決もそれについて判断を下していない。したがって、事後審たる上告審において初めて持ち出された当該主張は、上告理由としての適格を欠くといえる。
事件番号: 昭和48(あ)2535 / 裁判年月日: 昭和49年2月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審において主張および判断を経ていない事項に関する憲法違反の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由にあたらない。 第1 事案の概要:被告人側の弁護人が、憲法38条(黙秘権・自白の強要禁止)違反を理由として上告を申し立てたが、当該事項は第一審および控訴審(原審)の審理過程において一度も主張されてお…
結論
本件上告は不適法であるとして、棄却される。
実務上の射程
上告審の構造(事後審)を端的に示した判断。答案上は、原審で尽くされていない憲法違反等の主張がいきなり上告審でなされた場合の形式的排斥の根拠として利用できるが、判示事項が極めて簡潔であるため、実質的な憲法解釈には踏み込めない点に注意を要する。
事件番号: 昭和47(あ)2561 / 裁判年月日: 昭和48年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において憲法違反を主張するためには、原則として原審においてその主張及び判断を経ていなければならない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件について上告を提起した際、弁護人が憲法38条(黙秘権・自白の強要禁止等)違反を主張した。しかし、当該主張は原審(控訴審)においてはなされておらず、原審の判断…
事件番号: 昭和49(あ)479 / 裁判年月日: 昭和49年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審において主張及び判断を経ていない事項に関する憲法違反の主張や、原審の認定に沿わない事実関係を前提とする判例違反の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対して上告を申し立てた。その上告趣意において、第一に、原審では主張も判断もされていなかった事項…
事件番号: 昭和44(あ)2339 / 裁判年月日: 昭和45年4月9日 / 結論: 棄却
所論の道路交通法七二条一項後段の規定が憲法三八条一項に違反するものでないことは当裁判所の判例(昭和三五年(あ)第六三六号同三七年五月二日大法廷判決、刑集一六巻五号四九五頁)の趣旨に徴して明らかである。
事件番号: 昭和47(あ)2281 / 裁判年月日: 昭和48年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない憲法違反の主張や単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由を構成せず、職権調査によっても原判決を破棄すべき事由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が憲法14条(法の下の平等)および32条(裁判を受ける権利)違反、ならびに量刑不当を理由として上告を申し立てた事案で…