常習賭博の罪についても累犯加重の規定の適用がある。
常習賭博の罪と累犯加重
刑法56条1項,刑法186条1項
判旨
常習賭博罪(刑法186条1項)に対しても、刑法56条1項の累犯加重の規定は適用される。刑法の一般原則に基づき、常習性を要件とする犯罪であっても再犯の処罰を重くする累犯加重の趣旨は妥当する。
問題の所在(論点)
常習賭博罪(刑法186条1項)のように、構成要件自体に反復継続の性質(常習性)が含まれている犯罪に対して、刑法56条1項の累犯加重を適用することができるか。
規範
常習賭博の罪についても、その性質上、累犯加重の規定の適用を排除する理由はない。したがって、同罪に対しても刑法56条1項の累犯加重の規定が適用されるべきである。
重要事実
被告人が常習賭博の罪により起訴された際、前刑の執行終了から5年以内に後罪を犯していたことが認定された。弁護側は、常習賭博罪はそれ自体が反復累行の性質を含むものであるから、さらに刑法56条による累犯加重を適用することは二重評価にあたり許されない旨を主張して上告した。
あてはめ
常習賭博罪は「常習として」賭博をしたことを処罰するものであり、その行為自体の常習性を評価の対象とする。これに対し、累犯加重(刑法56条1項)は、懲役刑の執行終了後等から5年以内にさらに罪を犯したという、前科との時間的近接性および更生への期待に反した点に着目する加重規定である。判決は特段の論理を展開していないが、両者の評価対象は重複せず、常習犯であっても刑の執行を終えた後に再犯に及んだ場合には、その非難可能性が高まることから、累犯規定の適用を肯定したものと解される。
結論
常習賭博罪についても、刑法56条1項の累犯加重の規定が適用される。本件上告は棄却された。
実務上の射程
常習犯(常習傷害、常習累犯窃盗等)全般において、累犯規定が適用可能であることを示す基礎的な判例である。答案上は、特別法や常習性を要件とする罪であっても、一般原則として累犯加重の対象外とならないことを短く示す際に引用する。
事件番号: 昭和23(れ)1854 / 裁判年月日: 昭和24年4月7日 / 結論: 棄却
賭博をした者が約一一年前に常習賭博罪で懲役二月に処せられたことと当該賭博に關する押収金額、用具及び賭博の相手方がいずれも賭博罪又は常習賭博罪で処刑された者であることを綜合して賭博の常習性を認定しても差支えない。