賭博をした者が約一一年前に常習賭博罪で懲役二月に処せられたことと当該賭博に關する押収金額、用具及び賭博の相手方がいずれも賭博罪又は常習賭博罪で処刑された者であることを綜合して賭博の常習性を認定しても差支えない。
常習賭博在認定の一場合
刑法186条1項,旧刑訴法337条
判旨
刑法186条1項にいう「常習」とは、反復して賭博を行う習癖があることを指し、過去の賭博罪による前科および本件犯行の態様、状況等を総合して判断される。
問題の所在(論点)
刑法186条1項の常習賭博罪における「常習」の認定において、過去の同種前科および犯行時の状況(所持金や用具等)をいかに考慮すべきかが問題となる。
規範
「常習」として賭博を行ったか否かは、被告人の前科(回数・罪名・時期)、本件犯行の内容、押収された金額や用具、および周囲の状況等の諸要素を総合的に考慮し、反復して賭博を行う習癖が認められるかによって判断すべきである。
重要事実
被告人Aは過去に賭博罪で罰金刑6回、常習賭博罪で懲役刑1回の前科があり、被告人BおよびCも同様に複数の賭博罪または常習賭博罪の前科を有し、一部は執行猶予中であった。本件において、被告人らは現金4,610円や花札、毛布を用いて賭博を行い、その場には同様の前科を有する者が同席していた状態で検挙された。
あてはめ
被告人Aらには多数の賭博関連の前科があり、刑執行後や執行猶予中にもかかわらず本件犯行に及んでいる事実は、強い賭博習癖を示すものである。また、現場で押収された多額の現金、花札、毛布といった用具の存在に加え、同種前科を持つ者同士で賭博を行っていた客観的事実を総合すれば、単なる一回性の賭博ではなく、反復継続して行われる習癖に基づく「常習」の事実が認められる。
結論
被告人らの行為について常習賭博罪の成立を認めた原判決は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
常習性の認定において、前科は極めて重要な間接事実となる。答案上では、前科の回数・内容と今回の犯行態様(準備の程度や場所的状況)を併せて指摘し、習癖の現れであることを論証する際の枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和23(れ)34 / 裁判年月日: 昭和23年4月6日 / 結論: 棄却
被告人は昭和四年四月より同一四年一月までの間に賭博罪で六回、同一五年二月より同一九年二月までの間に賭博開帳常習賭博罪又は常習賭博罪で四回處罰されたものであつて、賭博の習癖は相當根強いものであることを窺い知ることができる。原審においてかかる前科にてらし本件賭博を常習賭博と認定したことは正當であつて、論旨の如き違法は認めら…