判決の結論に影響のない事項に対する論難として不適法とされた事例
憲法31条
判旨
銃砲刀剣類所持等取締法における「けん銃」に該当するためには、犯行当時において、当該けん銃が正常な実包発射の機能を有していることを要する。
問題の所在(論点)
銃刀法上の「けん銃」の意義、およびその認定において「正常な実包発射の機能」が必要とされるか。また、その判断時期はいつであるべきか。
規範
銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」)にいう「けん銃」とは、単に形態を備えているだけでなく、実質的に殺傷能力を有することを要する。具体的には、犯行当時において正常な実包発射の機能を有しているか否かによって、その該当性が判断されるべきである。
重要事実
被告人が所持していた各けん銃について、銃刀法違反の罪が問われた。弁護人は、当該けん銃が殺傷能力を欠くものであるとして、法令の解釈誤りや憲法違反を主張して上告した。判決文からは詳細な構造や故障の有無等の具体的状況は不明であるが、原審はこれらが機能を有していたと認定していた。
あてはめ
被告人の犯行当時において、所論の各けん銃が「正常な実包発射の機能」を有していたか否かが検討された。原審の認定によれば、当該けん銃は犯行時にこの機能を備えていたと判断されており、その認定は首肯できる。したがって、殺傷能力を具備した「けん銃」としての属性を欠くという弁護人の主張は、前提を欠くものと言える。
事件番号: 昭和51(あ)907 / 裁判年月日: 昭和51年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲刀剣類所持等取締法上の「銃砲」とは、現に発射機能を有しないものであっても、通常の補修を施すことにより容易に発射機能を有するに至るものを含む。また、その回復可能性は銃砲の知識を欠く通常人を基準に判断されるべきものではない。 第1 事案の概要:被告人が銃砲(拳銃等)を所持していたとして、銃砲刀剣類…
結論
被告人が犯行当時に正常な実包発射機能を有するけん銃を所持していた以上、銃刀法上のけん銃所持罪が成立する。上告は棄却される。
実務上の射程
銃刀法違反の事案において、物件が「けん銃」に該当するか否かの判断基準(実包発射機能の有無)を示す。答案上では、押収された物件が壊れている場合やモデルガンを改造したケースにおいて、構成要件該当性を検討する際の規範として活用できる。
事件番号: 昭和55(あ)1547 / 裁判年月日: 昭和55年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】私製けん銃が「けん銃」に該当するか否かは、金属性弾丸の発射機能を有しているかという実質的な性能に基づいて判断される。 第1 事案の概要:被告人が所持していた物件が私製けん銃であったところ、弁護人は当該物件に金属性弾丸の発射機能がないと主張して、原審が認定した「けん銃」該当性を争った。 第2 問題の…
事件番号: 平成5(あ)728 / 裁判年月日: 平成8年2月13日 / 結論: 棄却
刃渡りが約三三センチメートルで、片面に鋭利な刃が尽けられた鋼鉄製の刀身が柄に目釘で固定され、和包丁の特徴である俗にアゴと称される段差が?(はばき)により完全に覆い隠されているなど判示の形態、実質を備える本件刃物は、包丁儀式に使用するものとして所持されていたとしても、銃砲刀剣類所持等取締法(平成三年法律第五二号による改正…
事件番号: 昭和41(あ)2952 / 裁判年月日: 昭和42年4月13日 / 結論: 棄却
装飾用に製作された現に刃がついていない儀礼刀でも、その刀身が、刃をつけるに足りる一三クロームステンレス鋼で作られており、平やすり、電動式グラインダー等による加工研摩によつて、容易に鋭利な刃をつけることができるもの(原判文参照)は、銃砲刀剣類等所持取締法第三条第一項、第二条第二項にいう刀剣類にあたる。
事件番号: 昭和43(あ)413 / 裁判年月日: 昭和44年7月11日 / 結論: 棄却
故障したけん銃であつても、通常の修理により弾丸発射機能を回復させることが技術的に可能である場合には、その修理が合法的にできるか否かにかかわらず、銃砲刀剣類等所持取締法(昭和四〇年法律第四七号による改正前のもの)二条一項にいう「銃砲」にあたる。