故障したけん銃であつても、通常の修理により弾丸発射機能を回復させることが技術的に可能である場合には、その修理が合法的にできるか否かにかかわらず、銃砲刀剣類等所持取締法(昭和四〇年法律第四七号による改正前のもの)二条一項にいう「銃砲」にあたる。
故障したけん銃につきその修理が合法的にできるか否かにかかわらず銃砲刀類等所持取締法(昭和四〇年法律第四七号による改正前のもの)二条一項にいう「銃砲」にあたるとされた事例
銃砲刀剣類等所持取締法(昭和40年法律47号による改正前のもの)2条1項
判旨
銃砲刀剣類等所持取締法にいう「銃砲」にあたるか否かは、当該けん銃等の修理が合法的に可能であるか否かにかかわらず判断される。
問題の所在(論点)
銃砲刀剣類等所持取締法上の「銃砲」の定義に関し、当該物件の修理が法律上適法に行い得ることが、同法上の「銃砲」に該当するための要件となるか。
規範
銃砲刀剣類等所持取締法上の「銃砲」の該当性は、当該物件の客観的な形状、構造、機能に照らして、実用性のある火器としての本質を備えているか否かによって判断すべきであり、その修理が法律上適法に行い得るかといった法的規制の可否によって左右されるものではない。
重要事実
被告人が所持していたけん銃について、その修理が合法的にできるか否かが争点となった。被告人側は、合法的な修理が不可能であれば同法にいう「銃砲」には該当しない旨を主張して上告した。判決文からは詳細なけん銃の状態(破損の程度等)は不明であるが、原判決は「銃砲」への該当性を肯定している。
事件番号: 昭和25(れ)1948 / 裁判年月日: 昭和26年4月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】拳銃等の所持を禁ずる法令に違反する場合、当初の取得に正当な理由があったとしても、その後の継続的な所持が法定の除外事由に当たらない限り、不法所持罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人は、Aから拳銃1挺および実包等を取り上げた後、これを引き続いて携えたまま自宅に帰り、さらに再びA方に乗り込んでこれら…
あてはめ
本件けん銃が、たとえその修理を合法的に行うことができない状態であったとしても、そのことのみをもって直ちに同法上の「銃砲」概念から除外される理由にはならない。同法の目的は危険な武器の所持を規制することにあるため、事実上の機能回復の可能性や客観的な実体に着目すべきであり、修理の適法性という法律上の評価は銃砲該当性の判断に影響を及ぼさないと解される。したがって、原審が「銃砲」にあたると判断したことは正当である。
結論
本件けん銃が、その修理を合法的にできるか否かにかかわらず、同法にいう「銃砲」にあたるとした原判断は正当であり、所持罪が成立する。
実務上の射程
銃砲の定義における「機能」の判断において、物理的な可修性と法的・行政的な修理の可否を切り分けた点に意義がある。答案上は、壊れた銃の所持が問題となる場面で、実用性や殺傷能力といった実質的危険性の観点から判断すべき根拠として引用できる。
事件番号: 昭和48(あ)1121 / 裁判年月日: 昭和49年3月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲刀剣類所持等取締法における「けん銃」に該当するためには、犯行当時において、当該けん銃が正常な実包発射の機能を有していることを要する。 第1 事案の概要:被告人が所持していた各けん銃について、銃刀法違反の罪が問われた。弁護人は、当該けん銃が殺傷能力を欠くものであるとして、法令の解釈誤りや憲法違反…
事件番号: 昭和51(あ)907 / 裁判年月日: 昭和51年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲刀剣類所持等取締法上の「銃砲」とは、現に発射機能を有しないものであっても、通常の補修を施すことにより容易に発射機能を有するに至るものを含む。また、その回復可能性は銃砲の知識を欠く通常人を基準に判断されるべきものではない。 第1 事案の概要:被告人が銃砲(拳銃等)を所持していたとして、銃砲刀剣類…
事件番号: 昭和44(あ)1112 / 裁判年月日: 昭和44年10月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】急迫不正の侵害に対し、被告人がもっぱら攻撃意思に基づき行為に及んだ場合には、防衛意思が欠如し、また「やむを得ずにした」ものとは解されないため、正当防衛は成立しない。 第1 事案の概要:被告人は被害者から何らかの侵害を受けたが、それに対し被害者への攻撃意思をもって本件行為に及んだ。原審において被告人…
事件番号: 昭和41(あ)2952 / 裁判年月日: 昭和42年4月13日 / 結論: 棄却
装飾用に製作された現に刃がついていない儀礼刀でも、その刀身が、刃をつけるに足りる一三クロームステンレス鋼で作られており、平やすり、電動式グラインダー等による加工研摩によつて、容易に鋭利な刃をつけることができるもの(原判文参照)は、銃砲刀剣類等所持取締法第三条第一項、第二条第二項にいう刀剣類にあたる。