訴因変更許可決定に対する特別抗告の適否
刑訴法312条1項,刑訴法420条1項,刑訴法433条1項
判旨
訴因変更許可決定のように、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、同条に基づく特別抗告の対象とはならない。
問題の所在(論点)
訴因変更許可決定のような判決前の中間的決定が、刑事訴訟法433条1項に規定される「この法律により不服を申し立てることができない決定」として、特別抗告の対象となるか。
規範
刑事訴訟法433条1項の特別抗告の対象となる「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、終局的な決定(決定をもって手続が終了するもの)を指し、訴訟手続に関し判決前にされた中間的な決定はこれに含まれない。
重要事実
検察官による訴因変更の請求がなされ、裁判所がこれを許可する決定(訴因変更許可決定)を行った。これに対し、被告人側が憲法31条違反を理由として、最高裁判所に対し刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告を申し立てた。
あてはめ
本件における訴因変更許可決定は、訴訟手続の進行中、判決に先立って行われる中間的な判断にすぎない。このような「訴訟手続に関し判決前にした決定」は、刑事訴訟法433条1項が想定する、手続を終結させる不服申立不能な決定には当たらないと解される。
事件番号: 昭和55(し)133 / 裁判年月日: 昭和55年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。 第1 事案の概要:本件において、抗告人は原裁判所が訴訟手続に関して判決前に行った決定に対し、刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告を申し立てた。当該決定が同条項にいう…
結論
本件訴因変更許可決定に対する抗告は不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
訴因変更許可・不許可決定だけでなく、証拠決定や保釈決定(個別規定がある場合を除く)等の判決前の中間的決定一般について、特別抗告による直接の救済が制限されることを示す。これらの決定の適否は、原則として終局判決に対する上訴の中で争うべきこととなる。
事件番号: 昭和48(し)47 / 裁判年月日: 昭和48年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告の対象は、同法に定める通常の不服申立方法がない決定又は命令に限られる。訴訟手続に関し判決前にされた決定は、同条にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:本件において、検察官が行っ…
事件番号: 昭和29(し)37 / 裁判年月日: 昭和29年10月8日 / 結論: 棄却
検察官から証拠調の請求のあつた供述調書につき、被告人側から異議の申立があつたに拘らず、これを証拠に採用するとした決定の如き訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない。
事件番号: 昭和52(し)127 / 裁判年月日: 昭和52年11月11日 / 結論: 棄却
控訴の趣意として、「一 原判決は明らかに判決に影響を及ぼす事実の誤認がある。二 原判決は量刑が不当である。追つて詳細は書面で述べる。」と記載したにすぎない控訴趣意書は、刑訴法三八二条、三八一条所定の事実の援用を欠き、法律で定める方式に違反する。
事件番号: 昭和32(オ)1156 / 裁判年月日: 昭和33年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として主張された憲法違反が原審で未主張の事実を前提とする場合、または原判決に影響を及ぼさない事実を前提とする場合は、上告理由として不適法である。 第1 事案の概要:上告人が原判決に対して上告を提起し、憲法違反を主張した事案。しかし、その主張の前提となっている事実は、原審(控訴審)では主張さ…