一 原決定が本件準抗告申立(「抗告申立書」と題する準抗告申立書参照)の理由の追加として適法と認められる「抗告理由申立書」記載の主張(同書面参照)に対して判断を示さなかつたのは、違法である。 二 (参考)「抗告申立書」・「抗告理由申立書」および原決定は最高裁判所裁判集(刑事)登載の本件決定に添えて登載されている。
準抗告申立理由の追加として適法と認められる主張に対し準抗告棄却決定において判断を示さなかつたことが違法とされた事例
刑訴法431条,刑訴法432条
判旨
準抗告の申立後に提出された「抗告理由申立書」による主張は、申立理由の追加として適法であり、裁判所はこれについて判断を示す義務を負う。もっとも、判断遺脱の違法があっても、記録上その主張に理由がないことが明らかな場合には、決定を取り消さなければ著しく正義に反するとまではいえない。
問題の所在(論点)
準抗告の申立後になされた理由の追加が適法か、また、裁判所がその追加された理由について判断を遺脱した場合に、直ちに原決定の取消事由(著しい正義に反する場合)となるか。
規範
準抗告の申立後に提出された書面による主張は、申立理由の追加として適法なものと認められる。裁判所がこの追加された理由について判断を示さないことは違法であるが、当該主張に事実上の根拠がなく、結論に影響を及ぼさない場合には、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するとまでは認められない(刑訴法411条等の趣旨に準ずる)。
重要事実
申立人は、接見等禁止の裁判に対して準抗告を申し立てた。その際、当初の申立書とは別に、原審の判断が出る前の昭和47年4月4日付で「抗告理由申立書」を差し出し、本件接見等禁止の不当な目的利用を主張した。しかし、原審(準抗告裁判所)はこの追加主張について何ら判断を示さないまま決定を下したため、最高裁に特別抗告がなされた。
事件番号: 令和7(し)672 / 裁判年月日: 令和7年8月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】勾留中の接見等禁止の裁判を是認するには、被疑者が実効的な罪証隠滅に及ぶ現実的なおそれがあることを基礎付ける具体的事情が必要であり、それを指摘せずに接見禁止を認めた決定は違法である。 第1 事案の概要:被疑者はアパート浴室に携帯電話を差し入れ性的部位を撮影しようとしたが未遂に終わったという住居侵入・…
あてはめ
申立人作成の「抗告理由申立書」による主張は、準抗告申立の理由の追加として適法である。したがって、原決定がこれに判断を示さなかった点には違法がある。しかし、記録によれば、接見等禁止の裁判が申立人の主張するような不当な目的に利用された事実は認められない。そうであれば、仮に判断を示していたとしても結論は変わらず、判断遺脱があったとしても原決定を取り消さなければ著しく正義に反するとまでは認められない。
結論
本件抗告を棄却する。原決定の判断遺脱は違法ではあるが、取消事由には当たらない。
実務上の射程
準抗告手続における理由追加の許容性と、裁判所の判断義務を認めた点に実務上の意義がある。答案上は、理由不備や判断遺脱の違法を論じる際、それが結論に影響しない程度のものであれば、救済の必要性(著しい正義に反するか否か)の観点から決定を維持する構成の参考となる。
事件番号: 昭和44(し)21 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定の取消又は変更を求める権利は、身体拘束中の被告人・被疑者に認められるものであるから、釈放後は申立ての利益を欠き、原決定を取り消す実益がない。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官の発した勾留状により勾留されていた被疑者であった。申立人は検察官が行った接見指定に対して不服を申し立てていたが、最…
事件番号: 平成31(し)113 / 裁判年月日: 平成31年3月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が接見等により実効的な罪証隠滅に及ぶ現実的なおそれがあるといえない場合や、公判準備の必要性が高い場合には、刑訴法81条に基づく接見等禁止の必要性は認められず、これを維持する決定は同条の解釈適用を誤った違法がある。 第1 事案の概要:被告人は父親に対する傷害致死罪で起訴され、第1回公判期日終了…
事件番号: 昭和49(し)45 / 裁判年月日: 昭和49年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留処分に対する不服申立てにおいて、当該勾留の期間が既に経過している場合には、処分の効力を争う利益が失われるため、申立ては不適法(理由がない)となる。 第1 事案の概要:検察官による勾留処分がなされたが、特別抗告の審理時点において、当該勾留処分の対象となっていた期間(昭和49年4月24日まで)は既…
事件番号: 昭和53(し)54 / 裁判年月日: 昭和53年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留及び接見等禁止の措置を講じることと、勾留中に自白を強要することとは別個の問題である。したがって、勾留等の措置自体が直ちに憲法38条1項の自己負罪拒否特権に抵触するものではない。 第1 事案の概要:被告人(抗告人)に対し、勾留及び接見等禁止の措置がとられた。これに対し抗告人は、当該措置がなされる…