別件逮捕を理由とする自白証拠能力弾劾主張を欠前提で斥けた事例
憲法31条,憲法33条
判旨
逮捕・勾留の適法性およびそれに基づき作成された供述調書の証拠能力が争われたが、身柄拘束に違法はなく、供述の任意性も否定されないため、証拠能力を認めた原判断は相当である。
問題の所在(論点)
殺人被疑事件における身柄拘束(逮捕・勾留)の適法性、およびその期間中に作成された供述調書の証拠能力(任意性)。
規範
逮捕・勾留が適法な手続に基づき行われており、かつ当該拘束期間中に作成された供述調書について、強制や脅迫その他供述の任意性を疑わせるに足りる事情が認められない場合には、当該供述調書の証拠能力は否定されない。
重要事実
被告人AおよびBは殺人被疑事件により逮捕・勾留され、その期間中に自白を含む供述調書が作成された。被告人側は、当該逮捕・勾留が違法であり、また自白の任意性がないこと、さらに自白のみを証拠として有罪とされたことが憲法等に違反するとして上告した。
あてはめ
記録上、被告人らに対する逮捕・勾留に違法な点は認められない。また、当該期間中に作成された各供述調書について、強制や脅迫など供述の任意性を疑わせる証跡も認められない。さらに、判決書によれば被告人らは自白のみを唯一の証拠として有罪とされたわけではない。したがって、証拠能力を認めた判断に誤りはない。
結論
本件逮捕・勾留は適法であり、作成された供述調書の任意性も認められるため、証拠能力を肯定した原判断は正当である。
実務上の射程
逮捕・勾留の違法が供述調書の証拠能力に波及するかという問題(違法収集証拠排除法則)および自白の任意性の判断において、手続の適法性と具体的態様を重視する実務上の運用を確認するもの。答案上は、身柄拘束の適法性を前提とした任意性肯定の論理として活用できる。
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一 検察官が、まず甲事件について起訴勾留の手続をとつた後、右勾留中の被告人を乙事件の被疑者として取り調べたとしても、検察官においてはじめから乙事件の取調に利用する目的または意図をもつて、ことさらに甲事件を起訴し、かつ不当に勾留を請求したものと認められない場合には、右取調をもつて直ちに自白を強制し、不利益な供述を強要した…