法定刑超過の原判決が破棄された事例
刑法204条
判旨
裁判所が傷害罪を認定して罰金刑を選択する場合において、当時の法定刑の最高額を超える額を科した判決は、法令の適用に誤りがあり、これを破棄しなければ著しく正義に反すると解される。
問題の所在(論点)
裁判所が認定した罪名(傷害罪)に対して、当時の法令が定める法定刑の最高限度額(2万5000円)を超える罰金額(3万円)を科した判決の適法性、および刑訴法411条1号による職権破棄の可否が問題となる。
規範
判決において科される刑罰は、適用されるべき処罰規定および関連法規が定める法定刑の範囲内でなければならない。法定刑の最高額を超過して刑を科すことは法令違反であり、かかる違法が判決に影響を及ぼすことが明らかである場合には、刑訴法411条1号に基づき職権で原判決を破棄すべきである。
重要事実
一審判決は被告人を暴力行為等処罰に関する法律違反として懲役6月に処したが、原審(二審)はこれを破棄し、傷害の事実を認めた上で罰金刑を選択し、被告人を罰金3万円に処した。しかし、当時の刑法204条および罰金等臨時措置法3条によれば、傷害罪の罰金刑の法定最高額は2万5000円であった。
あてはめ
原判決が認定した傷害罪につき、罰金刑を選択した場合の法定刑の最高額は2万5000円である。これに対し、原判決は被告人に対して3万円の罰金を科しており、明らかな法定刑の過剰な適用が認められる。この違法は判決の結果に直結しており、修正せずに確定させることは著しく正義に反する事態といえる。
結論
法定刑の最高額を超過して科刑した原判決には法令違反があり、著しく正義に反するため、原判決を破棄し、事件を原審に差し戻す。
実務上の射程
量刑が法定刑の範囲を逸脱している場合(法定刑徒過)の救済に関する事例である。上告趣意が適法な理由に当たらない場合であっても、裁判所は刑訴法411条に基づき、著しく正義に反する法令違反を職権で調査・是正できることを示す実務上の指針となる。
事件番号: 昭和43(さ)1 / 裁判年月日: 昭和43年6月14日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】裁判所が傷害罪の法定刑(罰金)の上限を超えて罰金刑を科した略式命令は、法令に違反し、かつ被告人の不利益になるため、非常上告の手続きにおいて破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は傷害被告事件につき、昭和41年8月4日付の略式命令により罰金3万円に処せられ、同年8月23日に確定した。しかし…
事件番号: 昭和41(さ)3 / 裁判年月日: 昭和41年6月28日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】法定刑の最高限度を超えて罰金を科した略式命令は、法令違反であり被告人に不利益な裁判にあたるため、非常上告に基づき破棄されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は傷害の事実により、福岡簡易裁判所から罰金4万円の略式命令を受け、これが確定した。しかし、当時の刑法204条および罰金等臨時措置法3条1項…