死刑事件
判旨
死刑の量刑が争われた事案において、本件犯罪の情状に照らし、第一審判決の死刑判決を維持した原判決の判断は、やむを得ないものとして適法である。
問題の所在(論点)
被告人に死刑を科した第一審判決の量刑を維持した原判決が、刑罰の均衡や情状の評価において刑訴法411条(判決後の刑の廃止等による職権破棄)を適用すべき著しい不当があるか否か。
規範
死刑の適用については、刑法36条が定める量刑の一般的原則に基づき、犯行の性質、動機、態様、特に殺害の手段の残虐性、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を併せ考察し、その罪責が極めて重大であって、罪罰の均衡の見地からも一般予防の見地からも死刑の選択がやむを得ないと認められる場合に限って、許容される。
重要事実
被告人が犯した具体的な犯罪事実(殺人等の詳細)や犯行の背景については、提示された判決文からは不明であるが、第一審において死刑が言い渡され、原審(控訴審)においてもその量刑が維持された事案である。
あてはめ
最高裁判所は、記録を精査した上で、本件犯罪の情状(具体的な内容は判決文からは不明)を考慮した。その結果、第一審が選択し、原審が維持した死刑という量刑は、犯罪の性質や諸般の事情に照らして「まことにやむをえない」範囲内にあると評価した。したがって、事実誤認や量刑不当を理由とする上告趣意は、刑訴法405条の上告理由に該当せず、職権破棄すべき事由も認められないと判断した。
結論
本件死刑判決の維持はやむを得ないものとして、上告を棄却する。
事件番号: 昭和57(あ)303 / 裁判年月日: 平成2年2月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択は、犯行の計画性、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、及び被告人の役割等を総合的に考慮し、その刑責が極めて重大であって罪刑の均衡や一般予防の観点からやむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者Aと共謀の上、約1か月の短期間に、何ら落ち度のない女性2…
実務上の射程
本判決自体は簡潔な棄却判決であるが、後の「永山判決(最判昭58.7.8)」へと繋がる死刑適用の判断枠組み(死刑選択の許容性)を前提としている。司法試験の答案上は、極刑が想定される事案において、犯行の情状を総合考慮し「死刑の選択がやむを得ない」と言えるか否かを論述する際の基礎となる。
事件番号: 昭和45(あ)92 / 裁判年月日: 昭和46年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断は、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢・前科、犯行後の情状等の諸般の事情を慎重に考慮し、やむをえないと認められる場合には許容される。 第1 事案の概要:本件における具体的な犯罪事実は判決文からは不明であるが、原判決は「諸般の事情を慎重に考慮…
事件番号: 平成8(あ)168 / 裁判年月日: 平成12年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらず、複数の殺人・強盗殺人事件において、動機・態様・結果の重大性等の諸事情を総合考慮し、死刑の適用がやむを得ない場合には、これを是認することができる。 第1 事案の概要:被告人は約6年半の間に、2件の殺人と2件の強盗殺人等を犯した。具体的には、店舗店番の女…
事件番号: 平成8(あ)482 / 裁判年月日: 平成12年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、極めて悪質かつ重大な結果を招いた強盗殺人等の事案において死刑を科すことは、諸般の事情を考慮しても是認される。 第1 事案の概要:被告人は、実兄と共謀の上、一人暮らしの従弟(36歳)をビニールひもで緊縛・絞殺して権利証等を強取し、死体を海浜に遺棄した(…
事件番号: 昭和57(あ)842 / 裁判年月日: 昭和62年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状の諸点(永山基準)を総合考慮し、その罪責が極めて重大で、衡平の失当が認められない場合に許容される。 第1 事案の概要:被告人は、約9か月の間に、未成年者誘拐、殺人、死体遺棄、強盗殺人、強…