判例違反の主張が欠前提とされた事例
判旨
監禁罪(刑法220条)の成立には、人の身体の自由を拘束する状態が一定時間継続することを要する。原判決が監禁罪の成立を認めたことは、行動の自由の拘束が継続することを要しないとする趣旨ではない。
問題の所在(論点)
刑法220条の監禁罪における「監禁」の意義として、身体の自由の拘束が一定時間継続することを要するか。
規範
監禁罪(刑法220条)が成立するためには、被害者の身体の自由が拘束された状態が、一時的なものにとどまらず、一定の時間的継続性を有することを要する。
重要事実
被告人両名が被害者に対して身体の自由を拘束する行為を行った事案。弁護人は、原判決が「監禁罪の成立には行動の自由の拘束が継続することを要しない」との立場を前提に有罪を宣告したと主張して上告した。
あてはめ
原判決の判文を検討するに、監禁罪の成立に継続性が不要であると解示している箇所は認められない。したがって、身体の自由の拘束が継続することを前提とした上で被告人らの行為を監禁罪に該当すると判断した原判決に、特段の法令違反の誤りはない。
結論
監禁罪の成立には行動の自由の拘束が継続することを要する。本件上告は理由がないため棄却される。
実務上の射程
監禁罪における「監禁」の概念に時間的継続性が必要であることを再確認する事例である。実務上は、暴行・脅迫による一時的な場所的制約(数秒程度の足止め等)が監禁にあたるか否かを判断する際の基準として、本判旨が前提とする「継続性」の有無が検討されることとなる。
事件番号: 昭和32(あ)910 / 裁判年月日: 昭和34年7月3日 / 結論: 棄却
日本共産党員たる被告人が、ほか二名と共謀の上、当時同じく日本共産党員であつた某平和病院の炊事婦をしていた某女(当時二三年)を、日本共産党に対するスパイ活動容疑により弾劾査問しようと企て、そのため、某年三月一〇日午前〇時頃より同月一四日午前一一時頃までの間、某人方物置に留め置き、その間同女が同所から脱出することを防止する…
事件番号: 昭和42(あ)1482 / 裁判年月日: 昭和42年12月21日 / 結論: 棄却
暴行が不法監禁中になされたものであつても、その手段としてなされたものでなく、別個の動機、原因からなされた場合において、右暴行の結果被害者に傷害を負わせたときは、監禁致傷罪ではなく、監禁と傷害の二罪が成立し、両者は併合罪の関係となる。