傷害の手段として監禁し傷害を加えた場合でも、両者は牽連犯を構成しない。
傷害の手段として監禁し傷害を加えた場合と牽連犯の成否
刑法204条,刑法220条,刑法54条1項,刑法45条
判旨
傷害の手段として監禁が行われた場合であっても、行為の性質上、両者が通常手段・結果の関係にあるとは認められないため、牽連犯ではなく併合罪となる。
問題の所在(論点)
傷害罪(刑法204条)と監禁罪(刑法220条)が、いわゆる手段・結果の関係にあるとして、刑法54条1項後段の牽連犯に当たるか。
規範
刑法54条1項後段の「犯罪の手段……である行為が他の罪名に触れるとき」とは、ある罪が他の罪の手段または結果となることが、当該犯罪の性質上、社会通念に照らして通常の関係にあることを要する。
重要事実
被告人らは、被害者に対し、傷害を加える手段として監禁行為を行った。弁護人は、監禁が傷害の手段となっていることから、両罪は刑法54条1項の牽連犯に当たると主張して上告した。
あてはめ
傷害の手段として監禁がなされた場合であっても、傷害罪と監禁罪の行為の性質を比較検討するに、両者が当然に手段・結果の密接な関係にあるとはいえない。したがって、本件における監禁と傷害の関係は、社会通念上、通常手段・結果の関係にあるものとは認められない。
事件番号: 平成16(あ)2077 / 裁判年月日: 平成17年4月14日 / 結論: 棄却
恐喝の手段として監禁が行われた場合であっても,両罪は,牽連犯の関係にはない。
結論
傷害罪と監禁罪は牽連犯にはあたらず、刑法45条前段の併合罪となる。
実務上の射程
監禁を手段とした傷害や強盗において、牽連犯の成立を否定し併合罪とする実務慣行の根拠となる判例である。答案上は、具体的行為が「犯罪の性質上、通常手段・結果の関係にあるか」という基準を明示した上で、罪質や保護法益の差異に着目して併合罪として処理する際に活用する。
事件番号: 昭和42(あ)1482 / 裁判年月日: 昭和42年12月21日 / 結論: 棄却
暴行が不法監禁中になされたものであつても、その手段としてなされたものでなく、別個の動機、原因からなされた場合において、右暴行の結果被害者に傷害を負わせたときは、監禁致傷罪ではなく、監禁と傷害の二罪が成立し、両者は併合罪の関係となる。