一、量刑事情と憲法一四条 二、私的知識、偏見と憲法三二、三一条
憲法14条,憲法31条,憲法32条
判旨
裁判官が公判手続において質問を行う際、それが私的知識に基づくと認められず、かつ偏見を持って審理に当たったものでない限り、憲法31条、32条に違反しない。また、特定の事情を単なる量刑上の情状として考慮することは、憲法14条の法の下の平等に反する不当な差別には当たらない。
問題の所在(論点)
裁判官の公判での質問内容や態度が、憲法31条、32条の保障する適正な裁判を受ける権利を侵害するか。また、量刑判断における情状の考慮が憲法14条の法の下の平等に違反するか。
規範
裁判官による訴訟進行や質問が憲法31条(適正手続き)、32条(裁判を受ける権利)に違反するか否かは、当該行為が公判手続外の私的知識に基づいたものか、あるいは裁判官が偏見を持って審理に臨んだといえるかによって判断される。また、量刑上の情状考慮が憲法14条に違反するかは、それが合理的な根拠を欠く不当な差別といえるかによって決せられる。
重要事実
被告人が刑事事件について上告した際、原審裁判官が行った質問が公判手続外の私的知識に基づいたものであり、偏見を持って審理されたものであるとして、憲法31条、32条違反を主張した。また、原判決が特定の要素を量刑判断に用いたことについて、憲法14条の平等原則に違反し不当な差別であると主張した。
あてはめ
本件記録に照らせば、原審裁判官の質問が公判手続外の私的知識に基づいてなされたとは認められない。また、裁判官が偏見を持って審理に当たった事実も認められず、手続の適正は維持されている。量刑に関しても、原判決は指摘の点を単なる量刑上の情状の一つとして判示しているに過ぎず、合理的な裁量の範囲内であって被告人を不当に差別したものとはいえない。
事件番号: 昭和47(あ)2281 / 裁判年月日: 昭和48年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない憲法違反の主張や単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由を構成せず、職権調査によっても原判決を破棄すべき事由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が憲法14条(法の下の平等)および32条(裁判を受ける権利)違反、ならびに量刑不当を理由として上告を申し立てた事案で…
結論
本件上告には憲法違反の前提を欠き、適法な上告理由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
裁判官の忌避や公判手続の違憲性を争う際の判断基準として活用できる。裁判官の主観的な偏見や私的知識の流用が客観的に認められない限り、裁判の公正を争うことは困難であることを示唆している。量刑判断における事実考慮の裁量権の幅広さを確認する際にも参照される。
事件番号: 昭和47(あ)2561 / 裁判年月日: 昭和48年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において憲法違反を主張するためには、原則として原審においてその主張及び判断を経ていなければならない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件について上告を提起した際、弁護人が憲法38条(黙秘権・自白の強要禁止等)違反を主張した。しかし、当該主張は原審(控訴審)においてはなされておらず、原審の判断…
事件番号: 昭和44(あ)908 / 裁判年月日: 昭和44年10月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴されていない犯罪事実であっても、それが本件起訴にかかる犯罪事実の情状として認定され、量刑の資料とされるにすぎない場合は、憲法31条、39条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事起訴された事案において、原判決が起訴されていない一定の事実を認定した。これに対し弁護側は、当該事実を量刑の資料…
事件番号: 昭和45(あ)56 / 裁判年月日: 昭和46年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審において第一審判決の事実誤認を主張する機会が認められた場合には、適正手続を定めた憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が上告審において、原審で第一審判決の事実誤認を主張する機会がなかったことを前提に、憲法31条違反を主張して上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):刑…