判決の結論に影響のない事項に関する違憲の主張として不適法とされた事例
憲法33条,出入国管理令39条,出入国管理令43条
判旨
出入国管理法に基づく収容手続において、強制退去事由に該当する外国人を現認し、かつ逃亡の恐れがある等の緊急の必要がある場合には、司法官憲の令状がなくても憲法33条に違反しない。
問題の所在(論点)
出入国管理令(当時)に基づく司法官憲の令状によらない収容手続が、憲法33条の令状主義に違反し、当該収容行為が違法となるか。
規範
行政上の収容手続であっても、実質的に現行犯逮捕またはこれに類する緊急性が認められる状況下(強制退去事由への該当性の現認、および令状発付を待つ間の逃亡の恐れという相当の理由が存在する場合)においては、司法官憲の令状を要せずに行うことができる。
重要事実
入国警備官が、出入国管理令24条2号所定の強制退去事由(不法入国等)に該当する外国人として現認されている状況にある被告人に対し、収容令書の発付を待っていては逃亡の恐れがあると信ずるに足りる相当の理由があるものとして、令状なく収容行為を執行した。
あてはめ
本件収容行為は、被告人が強制退去事由に該当する外国人として「現認」されている状況下で行われた。また、収容令書の発付を待っていては「逃亡の虞」があると信ずるに足りる相当の理由が存在した。このような事情は、刑事手続における現行犯逮捕またはこれに類するものといえ、令状を欠いても憲法33条が要請する適正手続の保障を実質的に害するものとは解されない。したがって、令状なき収容は適法である。
結論
本件収容手続は憲法33条に違反せず適法であり、収容行為を違法とする主張は採用できない。
実務上の射程
行政上の強制処分における令状主義の適用範囲を画した判例である。行政手続であっても身体拘束を伴う場合は憲法33条等の保障が及び得るが、現行犯的状況や緊急性がある場合には令状なしの拘束が許容されることを示す際に引用すべきである。なお、弁護人依頼権(憲法34条)の不在については、収容行為自体の適否には影響しないとしている点も重要である。
事件番号: 昭和30(あ)465 / 裁判年月日: 昭和32年10月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法210条の緊急逮捕の規定は、憲法33条に違反せず合憲である。裁判官の令状をあらかじめ要しない場合であっても、厳格な要件下で事後に令状を求める手続は、憲法の趣旨に反するものではない。 第1 事案の概要:本件において被告人側は、緊急逮捕を認めた刑事訴訟法210条は令状主義を定める憲法33条に…