一、共犯者の自白が補強されているとして違憲の主張が欠前提とされた事例 二、判例違反の主張が欠前提とされた事例 三、判例違反の主張が実質は事実誤認の主張とされた事例
憲法38条3項
判旨
詐欺罪(刑法246条)が成立するためには、被欺罔者が財産的処分行為をすべき権限または地位を有していることを要する。
問題の所在(論点)
刑法246条の詐欺罪が成立するために、被欺罔者が財産的処分行為をなすための「権限または地位」を有している必要があるか。
規範
詐欺罪における処分行為の主体(被欺罔者)は、被害者の財産を法的にあるいは事実上処分しうる権限または地位を有する者であることを要する。
重要事実
被告人が共犯者Aらと共謀し、何らかの欺罔行為を用いて財物を交付させた事案。弁護人は、被欺罔者が財産的処分行為をすべき権限または地位を有していなかったとして、詐欺罪の成立を争った。
あてはめ
最高裁は、原判決が詐欺罪の成立要件として「被欺罔者が財産的処分行為をすべき権限または地位を有すること」を必要とする趣旨であると判断した。その上で、本件において被欺罔者がそのような権限等を有していなかったとする主張は事実誤認の主張にすぎず、適法な上告理由にならないとした。
事件番号: 昭和27(あ)6498 / 裁判年月日: 昭和28年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】詐欺罪における欺罔行為は、必ずしも被害者に経済的損失を負わせることのみを目的とするものではなく、被害者が真実を知っていれば金品を交付しなかったであろう重要な事項について偽ることを含む。 第1 事案の概要:被告人らは共謀の上、特定の商品や権利の販売において、その性質や価値について虚偽の事実を告げた。…
結論
詐欺罪の成立には、被欺罔者が財産的処分行為をすべき権限または地位を有することを要する。
実務上の射程
本判決は、詐欺罪と窃盗罪(間接正犯)の区別基準として重要な意味を持つ。被欺罔者に処分権限・地位が認められない場合は、被欺罔者を「道具」として利用した窃盗罪が検討されることになる。答案上は、被欺罔者が法的な代理権のみならず、事実上の保管・管理権限を有しているかを具体的事実から検討する際に用いる。
事件番号: 昭和46(あ)616 / 裁判年月日: 昭和47年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】詐欺罪における財物の交付とは、欺罔行為に基づく錯誤によって財物の現実の占有移転がなされることをいい、実体法上の権利移転や私法上の効果の有無は同罪の成否に影響しない。 第1 事案の概要:被告人が、欺罔行為を用いて相手方から財物の交付を受けた。これに対し、弁護人は、交付後もなお交付者が占有権に基づき返…
事件番号: 昭和42(あ)786 / 裁判年月日: 昭和42年12月21日 / 結論: 棄却
土地所有者の氏名を冒用して、簡易裁判所に起訴前の和解の申立をし、被告人に右土地の所有権移転登記手続をする旨の内容虚偽の和解調書を作成させたうえ、その正本を登記官吏に登記原因を証する書面として提出し、登記簿にその旨不実の記載をさせても、右土地に関する詐欺罪は成立しないものと解すべきである。
事件番号: 昭和27(あ)6146 / 裁判年月日: 昭和28年3月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀共同正犯が成立するためには、事前の打合せや意思の連絡が必要であり、これらが認められない場合には単独犯として処理されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は、共犯者が存在する共犯事件であると主張して上告したが、原審(または記録上)では、当該事件において当事者間での事前の打合せ等は認められず、そ…
事件番号: 昭和24(れ)1603 / 裁判年月日: 昭和24年11月17日 / 結論: 棄却
所論「家庭用主食購入通帳」は、一個人の所有權の容体となるべき有体物であるから、刑條にいわゆる財物にあたるものといわなければならない。從つて該通帳が本件被告人の配給物資を騙取せんがための手段であり、道具であるに過ぎなかつたとしても、詐欺罪の成立を妨げる理由はない。されば原審が被告人の所爲に對し食糧緊急措置令第一〇又は刑法…