受刑者に対する戒具(革手錠)の使用と憲法三六条 受刑者に対し一定の限度で運動を命令強制することと憲法一八条・三一条・三六条
監獄法,憲法36条
判旨
受刑者に対し一定の限度で運動を命令強制することは、憲法18条、31条、36条に違反せず、また戒具(革手錠)の使用がその時間および形態において必要性の範囲内であれば憲法36条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 受刑者に対して運動を命令強制することが、憲法18条、31条、36条に違反するか。2. 刑務所内での戒具(革手錠)の使用が、憲法36条の禁止する「残虐な刑罰」にあたるか。
規範
1. 受刑者に対する運動の命令強制は、一定の限度において許容され、受刑者に苦痛のみを目的とする無益な労働を強制するものでない限り、憲法18条(奴隷的拘束・苦役の禁止)、31条(適正手続)、36条(拷問・残虐刑の禁止)に違反しない。2. 戒具の使用は、その使用の時間および形態が「必要性の範囲」を超えないものである限り、憲法36条が禁止する残虐な刑罰には当たらない。
重要事実
受刑者である抗告人が、刑務所当局から運動を命令強制されたこと、および革手錠を使用されたことについて、これらが憲法18条、31条、36条に違反するとして不服を申し立てた事案。抗告人は、運動の強制が無益な労働の強制にあたること、および革手錠の使用がその時間・形態において必要性を超えた過剰なものであると主張した。
あてはめ
1. 運動の強制について:原決定の判示する「一定の限度」における運動の命令強制は、受刑者の健康維持や規律保持のために必要と認められ、苦痛のみを目的とする無益な労働を強制するものとは評価できない。したがって、憲法違反の前提を欠く。2. 戒具の使用について:本件の記録に照らせば、革手錠の使用はその拘束時間および拘束の形態のいずれの側面においても、施設内の秩序維持等のために認められる「必要性の範囲」を超えているとは認められない。
事件番号: 昭和56(し)52 / 裁判年月日: 昭和56年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件の特別抗告において、在監者が上訴申立書を監獄の長又はその代理者に差し出した時に上訴の提起があったものとみなす刑事訴訟法366条1項(在監者特則)は、準用ないし類推適用されない。 第1 事案の概要:申立人は付審判請求事件の特別抗告を申し立てようとした在監者である。抗告期間の最終日である…
結論
受刑者に対する運動の強制および必要最小限度の範囲内での戒具使用は合憲である。本件抗告を棄却する。
実務上の射程
受刑者の人権制限が「必要性の範囲」内か否かを判断する際の基準を示す。特に、戒具の使用については「時間」と「形態」という二つの要素から必要性を判断する枠組みを示しており、刑事収容施設法下の実務においても裁量権の逸脱・濫用を検討する際の考慮要素として活用できる。
事件番号: 平成16(し)208 / 裁判年月日: 平成16年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法366条1項に規定される在監者の上訴申立てに関する特則(監獄差し出し主義)は、付審判請求には準用も類推適用もされない。 第1 事案の概要:在監者である抗告人が付審判請求を行った際、刑事訴訟法366条1項の類推適用を前提として、監獄の長等への提出時をもって請求期間内の申立てと認められるべき…
事件番号: 昭和49(し)20 / 裁判年月日: 昭和49年3月20日 / 結論: 棄却
付審判請求事件の特別抗告申立には刑訴法三六六条一項は準用ないし類推適用されない。
事件番号: 昭和46(し)23 / 裁判年月日: 昭和46年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書差出期間の最終日の通知が適法になされている場合、裁判を受ける権利を保障した憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:本件における申立人は、控訴趣意書の差出期間の最終日の指定について、昭和46年1月24日に通知を受けた。申立人は、この指定や手続が憲法32条に違反すると主張して特別抗告を申…
事件番号: 昭和46(し)29 / 裁判年月日: 昭和46年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく最高裁判所への特別抗告は、その対象となる決定又は命令に対して同法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が下した原決定に対し、刑事訴訟法419条及び421条に基づき、当該高等裁判所に対して通常の抗告を申し立てること…