既に釈放された者と勾留に関する処分に対する特別抗告申立(少年の検察官送致の際の陳述機会欠缺が違憲という)の利益(消極)
少年法20条
判旨
少年に対する検察官送致決定の取消しを求める抗告手続において、少年が既に釈放されている場合には、手続上の違法を争う利益は失われる。
問題の所在(論点)
少年を検察官送致する際に陳述の機会を与えなかった手続的瑕疵を、釈放後に抗告手続において争うことができるか(抗告の利益の有無)。
規範
不服申立ての対象となっている処分に基づく拘束状態が既に解消されている場合、当該処分の取消しを求める法的利益(不服申立ての利益)は消滅する。
重要事実
少年(申立人)に対し、家庭裁判所の裁判官が犯罪事実についての陳述の機会を与えないまま検察官送致(逆送)の決定を行った。申立人は、この手続が憲法に違反するとして抗告を申し立てたが、当該抗告手続の継続中に、申立人は釈放された。
あてはめ
申立人は昭和46年7月24日に既に釈放されている。この事実に照らせば、検察官送致に伴う身体拘束等の不利益を解消すべき現状が存在しないため、もはや本件手続において所論の手続違憲を争う利益は失われたというべきである。
事件番号: 昭和42(し)1 / 裁判年月日: 昭和42年5月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留に対する準抗告を棄却した決定に対し特別抗告がなされた場合であっても、被疑者が釈放されたときは、当該抗告について裁判をする実益がない。 第1 事案の概要:被疑者は銃砲刀剣類所持等取締法違反等の容疑で勾留され、これに対する準抗告が棄却されたため、弁護人が特別抗告を申し立てた。しかし、当該特別抗告の…
結論
申立人が既に釈放されている以上、不服申立ての利益を欠くため、本件抗告は棄却を免れない。
実務上の射程
行政事件訴訟法等における「訴えの利益」と同様の考え方を少年法の抗告手続に適用したもの。処分内容が既に実現または解消され、現状回復の必要性や実益がない場合には不服申立てが認められないという実務上の原則を示す。答案上は、手続的違法があっても、事後的にその違法を争うにつき「現実の利益」が失われているかどうかの検討材料として用いる。
事件番号: 昭和32(し)23 / 裁判年月日: 昭和32年5月21日 / 結論: 棄却
勾留せられた被疑者が留置の必要事由消滅により釈放された以上、同人に対する勾留状の効力を争うことは利益がない。
事件番号: 昭和30(し)24 / 裁判年月日: 昭和30年7月14日 / 結論: 棄却
勾留せられた被疑者が留置の必要事由消滅により処分留保のまま釈放された以上同人に対する勾留状の効力を争うことは利益がない。
事件番号: 昭和44(し)20 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状により勾留されていた被疑者が釈放された場合には、勾留の取消し等を求める不服申立ての利益が消滅するため、裁判所は原決定を取り消す実益がないものとして抗告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、昭和44年1月27日に簡易裁判所の裁判官が発した勾留状に基づき勾留されていた。しかし、その後…
事件番号: 昭和33(し)65 / 裁判年月日: 昭和33年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留状に基づき拘束されていた被疑者が既に釈放され、当該勾留状が失効した場合には、もはやその効力を争う訴えの利益は失われる。 第1 事案の概要:被疑者等は、昭和33年8月26日に福岡地方裁判所が発した勾留状に基づき勾留されていた。しかし、同年9月2日に被疑者等は釈放され、当該勾留状は同日をもって失効…