判旨
既に確定した略式命令と同一の犯罪事実について、重ねて略式命令が発せられた場合、その審判は法令に違反するため、非常上告に基づき後の略式命令を破棄し免訴すべきである。
問題の所在(論点)
同一の公訴事実について確定した略式命令があるにもかかわらず、重ねて公訴が提起され略式命令が発せられた場合に、いかなる裁判をすべきか。刑事訴訟法337条1号の免訴事由(確定判決を経たとき)の該当性が問題となる。
規範
同一の公訴事実について既に確定判決(確定した略式命令を含む)がある場合には、一事不再理の原則により、重ねて公訴を提起することは許されない。これに反して提起された公訴については、刑事訴訟法337条1号により、判決で免訴を言い渡すべきである。
重要事実
被告人は、昭和45年4月16日に発生させた業務上過失傷害の事実について、同年5月27日付の略式命令請求に基づき、同年6月5日に徳島簡易裁判所から罰金8,000円の略式命令を受け、これは同月23日に確定した。しかし、検察官は同一の事実について同年9月9日に再び略式命令の請求を行い、同裁判所はこれを看過して、同年9月18日に再び同一内容の略式命令を発し、これも同年10月6日に確定した。
あてはめ
本件において、被告人が昭和45年4月に起こした交通事故に関する業務上過失傷害の事実は、同年6月5日に発せられた略式命令により既に審判が尽くされ、同命令の確定により一事不再理の効力(既判力)が生じている。したがって、同年9月9日の略式命令請求に係る公訴事実は、既に確定判決を経たものと認められる。それにもかかわらず免訴せずになされた後の略式命令は、法令に違反し、かつ被告人に不利益なものであるといえる。
結論
既に確定した略式命令と同一の事実についてなされた後の略式命令は、刑事訴訟法458条1号により破棄されるべきであり、同法337条1号に基づき被告人を免訴する。
事件番号: 昭和43(さ)3 / 裁判年月日: 昭和44年2月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、二重処罰の禁止を定めた憲法及び刑事訴訟法の趣旨に基づき、免訴の言渡しをすべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和42年8月の業務上過失致死傷罪の公訴事実につき、同年12月に松戸簡易裁判所から罰金2万5,000円の略式命令を受…
実務上の射程
略式命令に確定判決と同一の効力(刑事訴訟法470条)があることを前提に、二重起訴および二重処罰の禁止を貫徹した事例。答案上は、一事不再理の効力が及ぶ範囲や、非常上告の手続的帰結を説明する際の基礎資料として活用できる。
事件番号: 昭和48(さ)2 / 裁判年月日: 昭和48年4月19日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】確定した略式命令と同一の事実について、重ねて略式命令が発せられた場合、後になされた略式命令は刑事訴訟法337条1号に該当し、免訴の裁判をすべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和46年4月1日の無免許運転の事実につき、同年6月24日に略式命令を受け、同年7月13日に確定した。しかし、検察官は…
事件番号: 昭和41(さ)2 / 裁判年月日: 昭和41年5月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法337条1号に基づき、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和38年11月15日の無免許運転の事実について、同年12月5日に罰金6000円の略式命令が確定した。しかし、その後、検察…
事件番号: 昭和41(さ)1 / 裁判年月日: 昭和41年4月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した裁判と同一の犯罪事実について、重ねて公訴が提起され、これに基づき略式命令が発せられた場合、当該後の裁判は刑事訴訟法337条1号に違反する。このような二重の確定裁判が生じた事態は、被告人の不利益が明らかであるため、非常上告の手続により原判決を破棄し、免訴を言い渡すべきである。 第1 事案…
事件番号: 昭和42(さ)3 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、確定判決があるときに該当し、刑訴法337条1号により免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、無免許運転の事実により昭和41年8月4日に罰金1万円の略式命令を受け、同年9月17日に確定した。しかし、その後検察官は…