一 判決の宣告は、すでに内部的に成立している判決を告知して、これを外部的にも成立させる手続である。 二 裁判長の被告人に対する訓戒は、判決宣告に付随する処置の一つであり、その性質上、審理および判決に関与した裁判官でなければこれをなしえないというものではない。
一 判決宣告の性質 二 裁判長の被告人に対する訓戒の性質
刑訴法315条但書,刑訴規則35条,刑訴規則221条
判旨
判決の宣告は、内部的に成立した判決を外部的に成立させる手続にすぎない。したがって、審理および判決に関与していない裁判官であっても、更新手続なしに判決の宣告を行うことができる。
問題の所在(論点)
審理および判決に関与していない裁判官が判決の宣告を行うことは、刑事訴訟法上許されるか。判決の宣告の法的性質および裁判官の更新の要否が問題となる。
規範
判決の宣告は、すでに内部的に成立している判決を告知してこれを外部的にも成立させる手続である(刑訴法315条参照)。また、被告人に対する訓戒(刑訴規則221条)は判決宣告に付随する処置にすぎず、その性質上、審理および判決に関与した裁判官が行う必要はない。したがって、審理に関与していない裁判官が宣告を行っても適法である。
重要事実
被告人の控訴事件において、原審(控訴審)の審理および判決の合議に関与した裁判官ではない江里口裁判官が、裁判長として原判決(控訴棄却)の宣告を行った。弁護人は、これが憲法31条、32条に違反する手続違背であるとして上告した。
あてはめ
本件において江里口裁判官は審理に関与していないが、判決の宣告は内部的に完成した判断を外部に示す公示手続であるため、刑訴法315条の趣旨に照らし、更新手続を要せずに行うことができる。また、宣告時に行われる訓戒も付随的処置であり、審理に関与した裁判官が行うべき必然性はない。よって、別個の裁判官が宣告を担当したことに違法はない。
結論
審理および判決に関与しない裁判官が裁判長として判決を宣告したことは適法であり、上告は棄却される。
実務上の射程
裁判官の構成変更(刑訴法315条)の限界を画する判例である。判決の「成立」と「告知」を区別し、後者は機械的な手続として審理不関与の裁判官でも行えることを明示した。実務上、宣告期日の裁判官繰りにおいて重要な根拠となる。
事件番号: 昭和53(あ)2067 / 裁判年月日: 昭和54年9月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審裁判官が予断を抱いていたとの事実は認められず、憲法31条および37条1項に違反しない。また、原審が判断を示していない事項や事案を異にする判例の引用は、上告理由としての判例違反に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、第一審裁判官が本件について予断を抱いたまま審理を進めたこと、および審理を尽…
事件番号: 昭和57(す)167 / 裁判年月日: 昭和57年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告を棄却した最高裁判所は、刑事訴訟法501条に定める「刑の言渡をした裁判所」には当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、道路交通法違反等の被告事件について、最高裁判所が昭和57年6月22日にした上告棄却決定に対し、刑事訴訟法501条に基づき裁判の解釈を求める申立てを行った。 第2 問題の所在(…