判旨
刑法25条2項は憲法14条1項および39条後段に違反せず、また刑法25条の2第2項および3項は憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
刑法25条2項(再度の執行猶予の要件)が憲法14条1項および39条後段に違反するか、また、刑法25条の2第2項および3項(保護観察の仮解除等)が憲法31条に違反するか。
規範
刑罰の執行猶予の要件およびその取消しに関する規定は、法の下の平等(憲法14条1項)や二重処罰の禁止(憲法39条後段)、および適正手続の保障(憲法31条)の趣旨に照らし、合理的な裁量の範囲内にある限り違憲とはならない。
重要事実
被告人は再度の執行猶予の可否や、保護観察の仮解除がなされなかったことの不当性を理由に、刑法25条2項、および25条の2第2項、3項の違憲性を主張して上告した。判決文からは被告人が犯した具体的な罪状や前科の詳細は不明であるが、一審・二審の判断を不服として最高裁に憲法判断を求めたものである。
あてはめ
最高裁は、刑法25条2項が憲法14条1項の平等原則や39条後段の二重処罰禁止に違反しないことは、過去の累次の大法廷判例(昭和24年、昭和25年等)の趣旨に照らして明らかであるとした。また、保護観察の仮解除がなされなかったことについても、本件において不当と認められる点はなく、手続的妥当性を欠くものではないと判断した。
結論
本件各規定は憲法に違反せず、上告を棄却する。
実務上の射程
執行猶予制度の憲法適合性を確認した判例であり、答案上は、執行猶予の取消しや再度の執行猶予の要件が不合理な差別や二重処罰に当たらないことを簡潔に示す際に引用できる。実務的には、刑罰権の行使における立法裁量の広さを裏付けるものといえる。
事件番号: 昭和46(あ)555 / 裁判年月日: 昭和46年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】前科を量刑上の資料として参酌することは、憲法39条後段が禁じる二重処罰には当たらず、また憲法14条1項の法の下の平等にも違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、裁判所が被告人の有する前科を量刑上の資料として参酌し、刑を言い渡した。これに対し弁護人は、前科を量刑に…
事件番号: 昭和54(あ)267 / 裁判年月日: 昭和54年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法25条1項2号が、前科のある者に対して執行猶予の要件を厳格に定めていることは、憲法14条の法の下の平等及び39条の一事不再理・二重処罰の禁止に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、刑法25条1項2号の規定(前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日等から5年以内に禁錮…
事件番号: 昭和47(あ)2281 / 裁判年月日: 昭和48年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由に当たらない憲法違反の主張や単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由を構成せず、職権調査によっても原判決を破棄すべき事由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が憲法14条(法の下の平等)および32条(裁判を受ける権利)違反、ならびに量刑不当を理由として上告を申し立てた事案で…
事件番号: 昭和46(あ)936 / 裁判年月日: 昭和46年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の前科を量刑の事情として考慮することは、前科に対する確定判決を変更したり、同一の犯罪に対して重ねて刑罰を科したりするものではないため、憲法39条後段の二重処罰の禁止には抵触しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判において有罪判決を受けた際、第一審判決が被告人の前科を考慮して刑を言い渡し、…
事件番号: 昭和47(あ)2639 / 裁判年月日: 昭和48年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官控訴に基づき、量刑不当を理由に第一審判決を破棄して自判することは、同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問うものではないため、憲法39条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人に対し第一審判決が言い渡された後、検察官が量刑不当を理由に控訴を申し立てた。原審(控訴審)は、この検察官控訴を理由が…