昭和二三年法律第一一〇号による改正後の旧地方税法一三六条二項および昭和二八年法律第二〇二号による改正前の地方税法九二条一項の各不納入罪は、いずれも、特別徴収義務者が納入すべき金額を納入しないで法定の期限を経過することによつて当然に成立するものであつて、特別徴収義務者の納入意思の有無如何は犯罪の成否になんら影響を及ぼさないとした原判決の判断は、相当である(昭和二六年(あ)九九〇号同二九年一一月一〇日大法廷判決・刑集八巻一一号一七四九頁参照)。
昭和二三年法律第一一〇号による改正後の旧地方税法一三六条二項および昭和二八年法律第二〇二号による改正前の地方税法九二条一項の各不納入罪の成立と納入意思の有無
旧地方税法136条2項(昭和23年法律110号による改正後のもの),地方税法92条1項(昭和28年法律202号による改正前のもの)
判旨
地方税法上の不納入罪は、特別徴収義務者が納入すべき金額を法定の期限までに納入しないことで当然に成立し、犯人の納入意思の有無は犯罪の成否に影響しない。
問題の所在(論点)
地方税法上の不納入罪の成立において、特別徴収義務者の「納入意思」の有無が構成要件として必要とされるか、または犯罪の成否に影響を及ぼすか。
規範
地方税法における不納入罪は、特別徴収義務者が納入すべき金額を納入しないで法定の期限を経過することによって当然に成立する。したがって、特別徴収義務者の納入意思の有無といった主観的事情は、犯罪の成否を左右するものではない。
重要事実
特別徴収義務者である被告人が、納入すべき地方税の金額を法定の期限までに納入しなかった事案。被告人側は、納入意思の欠如等の主観面を理由に犯罪の不成立を主張して上告した。
あてはめ
本件において被告人は、特別徴収義務者として納入すべき金額を法定の期限までに納入していない。不納入罪は、一定の期限までに義務を履行しないという不作為によって直ちに成立する性質のものである。そのため、被告人に納入の意思があったか否か、あるいは積極的に納入を拒絶する意図があったかといった主観的事情は、法が予定する成立要件を欠くものではなく、犯罪の成否に何ら影響を及ぼすものではないと解される。
結論
不納入罪は法定期限の経過により当然に成立し、納入意思の有無は犯罪の成否に影響しない。
実務上の射程
本判決は、不作為犯としての不納入罪の成立時期と主観的要素の要否を明確にしている。答案上は、作為義務を前提とした不真正不作為犯の議論とは異なり、単純不作為犯として法定期限の経過という客観的事実をもって既遂に達し、故意の内容として特段の納入意思までは不要である旨を論じる際に活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)990 / 裁判年月日: 昭和29年11月10日 / 結論: 棄却
一 旧地方税法第一三六条第二項は憲法第一三条、第三六条に違反しない。 二 旧地方税法第一三六条第二項の不納入罪は特別徴収義務者が納入すべき金額を納入しないで法定の期限を経過することによつて当然に成立するものであつて、これに対して同法第四一条の督促状を発することは右不納入罪の成立要件ではない。 三 判決に被告人が入場税お…