一 地方税法一二二条一項の不納入罪は、特別徴収義務者が同法一一九条二項の規定により徴収して納入すべき料理飲食等消費税に係る納入金を納入しないで法定の期限を経過することにより直ちに成立し、右期限後に都道府県知事が更正処分を行つたとしても、不納入罪の成立になんら消長を来さない。 二 バーの経営者が利用客から支払いを受けた飲食代金の中に、計算違いのため、備付けの料金表に表示された金額を超えて請求した部分が含まれていたとしても、超過部分が僅少であり、利用客においてなんら異議をとどめることなくこれを支払つていることなど、本件の事実関係(原判文参照)の下においては、右超過部分も、地方税法一一三条二項にいう料金にあたる。
一 地方税法一二二条一項の不納入罪の成立と更正処分との関係 二 計算違いによる超過請求代金が地方税法一一三条二項にいう料金にあたるとされた事例
地方税法113条,地方税法119条2項,地方税法122条1項,地方税法124条
判旨
地方税法上の不納入罪は、納入期限までに納入金が納入されないことで直ちに成立し、その後の更正処分の有無に左右されない。また、特別徴収義務者が客に請求し受領した代金全額は、計算違いによる超過分が含まれていても「料金」にあたる。
問題の所在(論点)
1. 地方税法上の不納入罪の成立時期および更正処分の要否。 2. 計算違いにより本来の料金を上回って請求・受領された金額が、同法113条2項にいう「料金」(課税標準)に含まれるか。
規範
1. 地方税法122条1項の「納入金」とは、更正処分により確定した金額ではなく、同法113条1項に基づき利用行為者の料金を課税標準として課される金額を指す。したがって、特別徴収義務者が納入期限までにこれを納入しないときは直ちに不納入罪が成立し、その後の更正処分は罪の成立に影響しない。 2. 課税標準たる「料金」の判断にあたっては、客観的な料金表の金額のみならず、実際に経営者が請求し、客が異議なく支払った代金の実態を重視すべきである。
重要事実
バー「A」の経営者は、備え付けの料金表より高い金額を客に請求していた。その請求額の中には計算違いによる超過部分が含まれていたが、当該部分は僅少であった。また、同店では従来から客に明細を示さず総額のみを告知しており、客も異議を留めずに支払うのが通例であった。経営者は、これらの代金(消費税分を含む)を納入期限までに納入しなかったため、地方税法違反(不納入罪)で起訴された。
あてはめ
1. 不納入罪の成立について、本税の課税要件は利用行為時に充足されるため、法定の納入期限の経過によって犯罪は既遂に達する。よって、都道府県知事による事後の更正処分を待つまでもなく、未納の事実をもって罪は成立する。 2. 「料金」の該当性について、本件では超過部分が僅少である。加えて、経営者が総額を提示し、客が明細の確認や異議を申し立てることなく任意に支払っているという取引の実態に照らせば、計算違いの部分を含めた請求額の全額が飲食の対価(料金)として授受されたものと評価できる。
結論
被告人に不納入罪が成立するとした原判決は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
租税刑法における「不納入罪」の成立要件を明確化したものであり、特に行政上の確定手続(更正処分)と刑事上の犯罪成立の関係を切り離して考えるべき点に射程が及ぶ。また、実質的な受領額を課税標準として認める判断手法は、実務上の徴収実態を重視する解釈として重要である。
事件番号: 昭和25(あ)1229 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】入場税の納期を争い、事後的に完納した旨を主張して犯罪の成立を否認しても、所定の納期までに納付がなされていない以上、法令適用の誤りや刑訴法411条の適用事由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人は、第一審判決が認定した入場税の脱税等の事実につき、その納期について争いがあったこと、および昭和23年…