判決に反対意見を付した裁判官が、判決訂正申立棄却決定にも同一反対意見を付した事例。
判決に反対意見を付した裁判官と判決訂正申立棄却決定における意見表示
刑訴法417条,裁判所法11条
判旨
判決の訂正の申立があった場合において、裁判所が当該判決の内容に誤りがあることを発見しないときは、刑事訴訟法417条1項に基づき申立を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法417条1項に基づく判決の訂正の申立において、判決内容に憲法違反や判断遺脱等の誤りが認められるか。
規範
最高裁判所は、上告判決の内容に誤りがあることを発見したときは、刑事訴訟法417条1項に基づき、申立により又は職権で判決を訂正することができるが、誤りがないと認められる場合には、同条項により申立を棄却する。
重要事実
本件上告を棄却した最高裁判所の判決に対し、申立人が、当該判決は憲法37条1項(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)及び76条3項(裁判官の良心の独立)に違反し、かつ判断遺脱がある旨を主張して、判決の訂正を申し立てた事案である。
あてはめ
事件番号: 昭和43(み)6 / 裁判年月日: 昭和43年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法417条1項に基づく判決訂正の申立について、判決の内容に誤りがないと認められる場合には、申立を棄却する。 第1 事案の概要:申立人は、公職選挙法違反被告事件についてなされた最高裁判所の上告棄却判決(昭和43年4月3日宣告)に対し、内容に誤りがあるとして判決訂正の申立を行った。 第2 問題…
最高裁判所第三小法廷は、本件申立にかかる前判決の内容を検討したが、憲法違反や判断遺脱といった誤りがある事実は発見されなかった。なお、裁判官田中二郎は、原審の有罪判決は破棄すべきであるとの反対意見を付したが、法廷としては誤りがないものと判断した。
結論
本件上告判決の内容に誤りは認められないため、刑事訴訟法417条1項に基づき、判決訂正の申立を棄却する。
実務上の射程
最高裁判所の判決に対する訂正申立は、実質的に判決の誤り(計算違い、誤記、またはこれらに類する明白な誤り等)を是正するための非常救済手段であり、実務上、上告判決後の不服申立手段として極めて限定的に運用される。答案上は、確定判決に対する不服申立の可否や判決訂正の要件を検討する際の一資料となる。
事件番号: 昭和30(す)47 / 裁判年月日: 昭和30年2月23日 / 結論: 棄却
刑訴第四一四条、第三八六条第一項第三号により上告を棄却した最高裁判所の決定に対しては、同第四一四条、第三八六条第二項により異義の申立をすることができるが、訂正の申立をすることは許されない。
事件番号: 昭和30(す)37 / 裁判年月日: 昭和30年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がした上告棄却の「決定」に対しては、判決の訂正の申立て(刑事訴訟法415条1項準用)をすることは許されず、また異議の申立て(同法414条、385条2項等)としても期間経過後は不適法となる。 第1 事案の概要:被告人に対する公職選挙法違反事件において、最高裁判所が昭和30年2月4日に上告棄…
事件番号: 昭和31(み)7 / 裁判年月日: 昭和31年2月14日 / 結論: 棄却
本件訂正申立趣意第一点は、判決書に表示された被告人の本籍並びに住居の地番及び生年月日の訂正を求めるものであり、同第二点は判決書に「公判期日に出席した検察官の官氏名の記載」(刑訴規則五六条二項)がないから無効であるとしてその訂正を求めるというのであつて、いずれも判決の内容に誤のあることを理由とするものでなく、刑訴四一五条…
事件番号: 昭和26(す)390 / 裁判年月日: 昭和26年10月25日 / 結論: 棄却
右の者から被告人Aに対する公職選挙法違反被告事件について昭和二六年一〇月四日当裁判所が宣告した上告棄却の決定に対し、別紙添附の書面記載の通り訂正の申立があつたが裁判の内容に誤のあることを発見しないから、刑訴四一七条一項により裁判官全員一致の意見で次の通り決定する。