判旨
被告人が上告審での係属中に死亡した場合には、裁判所は、刑事訴訟法414条、404条、339条1項4号を適用し、決定をもって公訴を棄却しなければならない。
問題の所在(論点)
上告審の係属中に被告人が死亡した場合において、裁判所がなすべき裁判上の措置およびその根拠条文が問題となる。
規範
被告人が死亡したときは、裁判所は決定をもって公訴を棄却しなければならない(刑事訴訟法339条1項4号)。この規定は、控訴審(同法404条)および上告審(同法414条)にも準用される。
重要事実
被告人は、業務上過失傷害および道路交通法違反の罪で起訴され、昭和44年11月27日に広島高等裁判所で判決を受けた。被告人はこの判決を不服として最高裁判所に上告を申し立て、事件が継続していた。しかし、上告審の係属中である昭和45年5月28日、被告人が死亡した事実が医師の死亡診断書および戸籍謄本によって確認された。
あてはめ
本件において、被告人が死亡した事実は、医師作成の死亡診断書および公的機関が認証した戸籍謄本の記載から明らかである。被告人が死亡した以上、刑罰権の行使の対象が消滅したといえる。したがって、上告審においても第一審の公訴棄却決定の規定を準用する刑事訴訟法414条、404条、339条1項4号に基づき、訴訟を終了させるべきである。
結論
被告人が死亡したため、刑事訴訟法414条、404条、339条1項4号により、決定で本件公訴を棄却する。
実務上の射程
被告人死亡による公訴棄却は、被告人の不在により審理の継続が不可能かつ無意味となるために認められる。上告審であっても、被告人が死亡した場合には実体的な判断に踏み込むことなく、形式裁判である決定をもって速やかに訴訟を終了させるという実務上の運用を明確に示している。答案上は、被告人死亡時の処理を問う設問で、条文適用の根拠として引用する。
事件番号: 昭和58(あ)1312 / 裁判年月日: 昭和58年10月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が上告提起後に死亡した場合には、刑事訴訟法339条1項4号に従い、公訴棄却の決定をすべきである。 第1 事案の概要:業務上過失致死傷および道路交通法違反の罪で起訴された被告人に対し、名古屋高等裁判所が判決を言い渡した。これに対し弁護人および検察官の双方が上告を申し立てたが、上告審での審理中に…
事件番号: 平成2(あ)402 / 裁判年月日: 平成2年9月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告棄却決定の謄本発送前に被告人が死亡していたことが判明した場合、刑事訴訟法に基づき、決定ではなく公訴棄却の決定をもって訴訟を終結させるべきである。 第1 事案の概要:業務上過失傷害および道路交通法違反の罪に問われた被告人に対し、名古屋高裁が控訴棄却判決を言い渡した。被告人はこれに対し上告を申し立…
事件番号: 昭和56(す)142 / 裁判年月日: 昭和56年10月8日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が死亡したときは、刑事訴訟法339条1項4号に基づき、決定をもって公訴を棄却しなければならない。 第1 事案の概要:被告人に対し刑事裁判が継続していたところ、被告人は昭和56年9月17日午前0時3分に死亡した。この事実は、千葉県市川市長による戸籍抄本の記載によって証明された。当時、本件は最高…