上告棄却決定謄本を被告人に発送したところ被告人死亡によりこれが返送されてきたため公訴棄却決定をした事例
刑訴法414条,刑訴法404条,刑訴法339条1項4号
判旨
上告棄却決定の謄本発送前に被告人が死亡していたことが判明した場合、刑事訴訟法に基づき、決定ではなく公訴棄却の決定をもって訴訟を終結させるべきである。
問題の所在(論点)
上告裁判所が上告棄却の決定をした際、既に被告人が死亡していたことが判明した場合に、裁判所がいかなる措置を講じるべきかが問題となる(刑事訴訟法339条1項4号、414条)。
規範
被告人が死亡したときは、決定で公訴を棄却しなければならない(刑事訴訟法339条1項4号)。この規定は、控訴審(404条)および上告審(414条)にも準用される。裁判所が終局的な裁判を行う前に被告人の死亡が判明した場合、訴訟条件の欠如を理由として訴訟を打ち切るべきである。
重要事実
業務上過失傷害および道路交通法違反の罪に問われた被告人に対し、名古屋高裁が控訴棄却判決を言い渡した。被告人はこれに対し上告を申し立てたが、最高裁判所は平成2年7月10日に上告棄却の決定を行った。しかし、当該決定謄本を発送したところ返送され、戸籍謄本の記載から、被告人は決定直前の同年7月1日に死亡していたことが事後的に判明した。
あてはめ
本件において、最高裁判所が上告棄却決定を下した時点(7月10日)において、被告人は既に死亡(7月1日)していた。公訴棄却の事由である「被告人が死亡したとき」に該当する場合、実体的な判断や上告受理の適否を判断する前提を欠くことになる。したがって、既になされた上告棄却決定の効力を前提とせず、改めて刑事訴訟法339条1項4号を適用して訴訟を終了させる必要がある。
事件番号: 昭和45(あ)79 / 裁判年月日: 昭和45年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が上告審での係属中に死亡した場合には、裁判所は、刑事訴訟法414条、404条、339条1項4号を適用し、決定をもって公訴を棄却しなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、業務上過失傷害および道路交通法違反の罪で起訴され、昭和44年11月27日に広島高等裁判所で判決を受けた。被告人はこの…
結論
被告人の死亡が判明したため、刑事訴訟法414条、404条、339条1項4号により、本件公訴を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟において被告人の生存は必須の訴訟条件であり、その欠如は職権調査事項である。判決後の死亡ではなく、裁判時において既に死亡していたことが判明した場合には、上告審であっても一審の規定を準用して公訴棄却の決定をすべきことを示している。実務上、被告人死亡の事実が判明した際の形式的終局裁判の選択肢として重要である。
事件番号: 昭和58(あ)1312 / 裁判年月日: 昭和58年10月14日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が上告提起後に死亡した場合には、刑事訴訟法339条1項4号に従い、公訴棄却の決定をすべきである。 第1 事案の概要:業務上過失致死傷および道路交通法違反の罪で起訴された被告人に対し、名古屋高等裁判所が判決を言い渡した。これに対し弁護人および検察官の双方が上告を申し立てたが、上告審での審理中に…
事件番号: 昭和56(す)142 / 裁判年月日: 昭和56年10月8日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が死亡したときは、刑事訴訟法339条1項4号に基づき、決定をもって公訴を棄却しなければならない。 第1 事案の概要:被告人に対し刑事裁判が継続していたところ、被告人は昭和56年9月17日午前0時3分に死亡した。この事実は、千葉県市川市長による戸籍抄本の記載によって証明された。当時、本件は最高…