原判決後被告人が死亡し、そのことを理由とし検察官から上告があり(原審弁護人がすでに上告していたもの)、当審が公訴を棄却した事例
刑訴法339条1項
判旨
被告人が上告提起後に死亡した場合には、刑事訴訟法339条1項4号に従い、公訴棄却の決定をすべきである。
問題の所在(論点)
上告審において審理を継続中に被告人が死亡した場合に、裁判所がいかなる裁判をなすべきか。特に、公訴棄却の判決(338条4号)と決定(339条1項4号)のいずれによるべきかが問題となる。
規範
被告人が死亡したときは、裁判所は決定をもって公訴を棄却しなければならない(刑事訴訟法339条1項4号)。これは被告人の死亡により刑罰権の行使の対象が消滅し、訴訟条件が欠如することに基づく。
重要事実
業務上過失致死傷および道路交通法違反の罪で起訴された被告人に対し、名古屋高等裁判所が判決を言い渡した。これに対し弁護人および検察官の双方が上告を申し立てたが、上告審での審理中に、戸籍謄本により被告人が昭和58年9月1日に死亡した事実が判明した。
あてはめ
本件において、上告審の記録によれば被告人の死亡は明らかである。刑事訴訟法414条は控訴審の規定(404条)を準用し、さらに同法404条は公判手続の規定を準用しているところ、被告人の死亡は同法339条1項4号に掲げられた公訴棄却決定の事由に該当する。したがって、実体的な審理を続行することなく、決定をもって手続を終結させるのが相当である。
事件番号: 昭和45(あ)79 / 裁判年月日: 昭和45年6月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が上告審での係属中に死亡した場合には、裁判所は、刑事訴訟法414条、404条、339条1項4号を適用し、決定をもって公訴を棄却しなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、業務上過失傷害および道路交通法違反の罪で起訴され、昭和44年11月27日に広島高等裁判所で判決を受けた。被告人はこの…
結論
本件公訴を棄却する(公訴棄却決定)。
実務上の射程
刑事手続のいずれの段階であっても、被告人が死亡した場合は訴訟条件の欠缺として公訴棄却となる。上告審においては本決定の通り刑事訴訟法339条1項4号が適用される。答案上、被告人の死亡という事実があれば、直ちに実体審理を打ち切り公訴棄却を導くための根拠として用いる。
事件番号: 平成2(あ)402 / 裁判年月日: 平成2年9月11日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告棄却決定の謄本発送前に被告人が死亡していたことが判明した場合、刑事訴訟法に基づき、決定ではなく公訴棄却の決定をもって訴訟を終結させるべきである。 第1 事案の概要:業務上過失傷害および道路交通法違反の罪に問われた被告人に対し、名古屋高裁が控訴棄却判決を言い渡した。被告人はこれに対し上告を申し立…
事件番号: 昭和56(す)142 / 裁判年月日: 昭和56年10月8日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が死亡したときは、刑事訴訟法339条1項4号に基づき、決定をもって公訴を棄却しなければならない。 第1 事案の概要:被告人に対し刑事裁判が継続していたところ、被告人は昭和56年9月17日午前0時3分に死亡した。この事実は、千葉県市川市長による戸籍抄本の記載によって証明された。当時、本件は最高…