いわゆる常習累犯窃盗の罪についても、刑法の累犯加重の規定の適用がある(昭和四四年六月五日第一小法廷決定、刑集二三巻七号九三五頁参照)。
いわゆる常習累犯窃盗の罪と累犯加重
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条,刑法8条,刑法56条,刑法59条
判旨
常習累犯窃盗罪(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条)についても、刑法第2編第12章の累犯加重の規定が適用される。特別法による加重処罰がなされる場合であっても、刑法総則の累犯加重規定の適用を排除するものではない。
問題の所在(論点)
常習累犯窃盗罪に対し、刑法の累犯加重の規定を重ねて適用することができるか。
規範
特別法である「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」3条に規定される常習累犯窃盗罪に対しても、刑法56条以下の累犯加重の規定は重畳的に適用される。これは、特別法による加重と刑法総則による加重が制度目的を異にし、併存可能であることに基づく。
重要事実
被告人は常習として窃盗行為に及び、過去の既決前科との関係で「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」3条の常習累犯窃盗罪に問われた。弁護側は、同条が既に「累犯」の要素を構成要件に取り込んで加重処罰を定めている以上、さらに刑法56条等の累犯加重規定を適用することは二重の処罰にあたり憲法31条等に違反すると主張した。
あてはめ
常習累犯窃盗罪は、窃盗の常習性と一定の既決前科があることを構成要件とする特別の犯罪類型である。これに対し、刑法56条の累犯加重は、刑の執行終了後等の再犯に対する一般的制裁規定である。判例は、昭和44年6月5日の決定を引用し、特別法による加重規定が存在する場合であっても、刑法総則の累犯加重規定の適用があるものと解するのが相当であるとした。
結論
常習累犯窃盗罪に対しても、刑法の累犯加重の規定の適用がある。
実務上の射程
実務上、常習累犯窃盗の法定刑(3年以上の有期懲役)に対し、刑法57条によりその長期が2倍に引き上げられる。答案作成においては、特別法と刑法総則の併用が肯定される典型例として、罪数や刑の加減算の局面で活用する。
事件番号: 昭和45(あ)2018 / 裁判年月日: 昭和46年2月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗犯等の防止及び処罰に関する法律3条が常習累犯者の法定刑を重くしていることは、新たな犯行に対する刑罰の加重であって、二重処罰を禁じた憲法39条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、窃盗等の罪を繰り返しており、盗犯等の防止及び処罰に関する法律(盗犯防止法)3条の規定に基づき、常習累犯者として重…
事件番号: 昭和42(あ)2997 / 裁判年月日: 昭和43年6月14日 / 結論: 棄却
一 盗犯等の防止及び処分に関する法律第三条所定の常習累犯者は、憲法第一四条にいう社会的身分にあたらない。 二 盗犯等の防止及び処分に関する法律第三条は、憲法第三九条に違反しない。