代表取締役である被告人が、被告人を取締役に選任する株主総会決議の効力を停止する仮処分決定送達後に、代表取締役名義で約手を振り出した行為につき、有価証券偽造罪の成立を認めた二審判決に対する上告が棄却された事例
刑法162条1項
判旨
被告人の検察官に対する供述調書の任意性を肯定した原審の判断が相当であるとした事案である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法319条1項にいう「任意にされたものでない疑」がある自白(供述調書)にあたるか否か。
規範
自白の証拠能力が認められるためには、刑事訴訟法319条1項に基づき、当該自白が任意になされたものであることが必要である。その判断にあたっては、供述に至る経緯、取調べの態様、供述者の身体・精神状態等を総合的に考慮し、虚偽の自白を誘発するおそれや、不当な圧迫によって供述の自由が侵害された疑いがないかという観点から判断すべきである。
重要事実
被告人Aが検察官に対して行った供述調書について、その任意性が争点となった。弁護人は、当該供述調書には任意性がない旨を主張して上告したが、原審は記録を精査した上で、任意性を疑うべき点はないと判断していた。
あてはめ
本件において、被告人Aの検察官に対する供述調書の作成過程を確認しても、取調べにおいて不当な強制や誘導があったとは認められない。記録に照らしても、原審が判断した通り、供述の任意性を疑わせる具体的な事由は存在しない。したがって、当該自白は自由な意思に基づいてなされたものと評価される。
結論
被告人Aの供述調書の任意性を認めた原審の判断は相当であり、証拠能力が認められる。上告は棄却される。
実務上の射程
自白の任意性については、個別の事案における具体的事実関係を基礎とした事実認定の問題となる。本決定は、原審の任意性肯定の判断を「相当」として維持しており、司法試験においては任意性が争点となる際のあてはめの参照例となるが、判決文が簡略であるため、本決定独自の抽象的規範が示されたわけではない点に注意が必要である。
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