上告趣意は、違憲(三一条)をいうが、賭博行為が風俗を害し公共の福祉に反するもので、実質的に違法であることは、判例(昭和二五年(れ)第二八〇号同年一一月二二日最高裁判所大法廷判決、刑集四巻一一号二三八〇頁)の趣旨に徴し明らかであつて、この点の主張は前提を欠く。 注 所論は賭博行為が実質的には違法でないとして、これを禁止処罰する刑法一八六条一項の違憲をいうもの。
刑法一八六条一項の規定を違憲(三一条)とする主張が前提を欠くとされた事例
刑法186条1項,憲法31条,刑訴法405条1号
判旨
賭博罪(刑法185条)の規定は、賭博行為が風俗を害し公共の福祉に反する実質的な違法性を有することから、憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
刑法185条の賭博罪の規定が、適正手続を定める憲法31条に違反し、違憲といえるか。特に賭博罪に処罰に値する実質的違法性が認められるかが問題となる。
規範
賭博行為は、社会の健全な風俗を害し、勤労の美風を損なうなど公共の福祉に反する性質を有する。したがって、これを処罰する規定は憲法31条の適正手続や実体的な適正性の原則に反するものではなく、合憲である。
重要事実
上告人は、刑法185条(賭博罪)の規定が憲法31条に違反するとの主張(違憲の主張)を提起した。具体的事案の詳細は判決文からは不明であるが、賭博行為の処罰の是非が争点となった。
あてはめ
最高裁判所大法廷判決(昭和25年11月22日)の趣旨を引用し、賭博行為が風俗を害し公共の福祉に反するものであると判断した。この実質的違法性が認められる以上、憲法31条違反の前提を欠くと評価される。記録を精査しても、法令違反や事実誤認など、上告を正当化すべき特段の事情は認められない。
結論
本件上告は棄却される。賭博罪の規定は憲法31条に違反しない。
実務上の射程
賭博罪の保護法益(健全な経済風俗、勤労の美風)が「公共の福祉」に基づき、国家による処罰の対象となることを確認する際に用いる。また、判決は簡素であるが、賭博の実質的違法性を肯定する確立した判例として、答案上では「賭博は健全な風俗を害し公共の福祉に反する」というフレーズで簡潔に引用すべきである。
事件番号: 昭和27(あ)4377 / 裁判年月日: 昭和27年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法186条1項の常習賭博罪の規定は、憲法違反により失効したものではなく、現在もなお効力を有する。憲法違反を理由に同罪の失効を主張する上告理由は、実質的に量刑不当を主張するものにすぎず、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が常習として賭博を行ったとして刑法186条1項の常習賭博罪…