憲法二三条違反の主張が不適法とされた事例―愛知大事件― 第一小法廷の上告棄却決定において「刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない」旨判示された事例
憲法23条
判旨
上告趣旨の各点は、すべて単なる法令違反を主張するものにすぎず、刑訴法405条所定の上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
被告人が主張する「単なる法令違反」ないし原判決の不当性の訴えが、刑事訴訟法405条に規定される適法な上告理由に該当するか。
規範
最高裁判所に対する上告は、憲法違反、憲法解釈の誤り、または最高裁判所の判例(あるいは大審院や上級裁判所の判例)に相反する判断がなされたことを理由とする場合に限られる(刑事訴訟法405条各号)。単なる法令違反の主張は、適法な上告理由とはならない。
重要事実
被告人が原判決に不服を申し立て、最高裁判所に対して上告を行った事案である。上告趣旨において、被告人は原判決における法令の適用や事実誤認等の不当性を主張したが、憲法違反や判例違反に関する具体的な指摘は含まれていなかった。
あてはめ
被告人が提出した上告趣旨を検討するに、いずれも刑事訴訟法405条が規定する憲法違反または判例違反を具体的に構成するものではない。これらはすべて、原判決における個別の法令適用に関する不服、すなわち「単なる法令違反」の主張に帰着する。したがって、上告理由としての適格性を欠くといえる。
事件番号: 昭和41(あ)1697 / 裁判年月日: 昭和48年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、検察官の上告について、引用された判例が事案を異にすること、及び単なる法令違反の主張であることを理由に、刑訴法405条の上告理由に当たらないとして棄却したものである。 第1 事案の概要:検察官が判例違反および法令違反を理由として上告を申し立てた事案。検察官は上告趣意において特定の判例を引用…
結論
本件各上告趣旨は単なる法令違反の主張であって、適法な上告理由に当たらないため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟における上告審の構造(事後審・法律審)を確認する際の基礎となる。実務上、上告趣旨書を作成・検討するにあたり、憲法違反や判例違反という限定された理由に集約させる必要があることを示唆している。
事件番号: 昭和57(あ)254 / 裁判年月日: 昭和57年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】別件逮捕・勾留の違法性が主張されたとしても、原判決が証拠の信用性判断の過程でその目的の存否に言及したにとどまる場合には、捜査自体の憲法適合性を判断したものとはいえず、違憲を理由とする適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が逮捕・勾留された際、その目的が不当であったとして弁護人が違…
事件番号: 昭和48(あ)369 / 裁判年月日: 昭和48年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由として主張された判例違反が認められず、その他の主張も刑訴法405条の上告理由に該当しないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てた際、弁護人は福岡高等裁判所昭和24年11月2日の判決を引用して判例違反を主張した。あわせて、単なる法令違反および量刑…
事件番号: 昭和25(あ)2172 / 裁判年月日: 昭和27年2月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留手続の違法は、判決そのものの違法を理由とする上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が勾留手続の違法を理由に上告を申し立てた。弁護人は、当該手続の違法が憲法に違反するものであると主張して上告理由としたが、判決そのものの適否ではなく、捜査・公判段階における身分拘束手続の瑕疵を問題とする…