判旨
上訴審において訴訟費用の裁判を是正し得るのは、単に本案の裁判に対し上訴の申立てがあっただけでは足りず、その上訴が適法かつ理由があり、本案についても下級審の判決が取り消される場合に限られる。
問題の所在(論点)
本案についての訴訟が適法な上告理由に当たらない場合において、上告審は下級審が判断した「訴訟費用の裁判」のみを独立して、あるいは本案の不当性を前提として是正することができるか(訴訟費用の裁判に対する上訴の制限)。
規範
上訴審において訴訟費用の裁判を是正すべき場合は、単に本案の裁判に対し上訴の申立てがあっただけでは足りない。当該上訴が適法かつ理由があり、本案についても下級審の判決が取り消される場合に限って、訴訟費用の裁判を是正することができるものと解すべきである。
重要事実
被告人両名に対し、訴訟費用の連帯負担を命じた下級審判決に対し、弁護人が判例違反(法令違反)および量刑不当を理由として上告を申し立てた事案。弁護人は、上告趣意において訴訟費用の連帯負担の不当性を主張した。
あてはめ
本件における上告趣意は、単なる法令違反や量刑不当の主張であって、刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらない。本案の上告が適法かつ理由があるものとは認められず、下級審の本案判決を取り消すべき事情も存在しない。したがって、前提となる本案判決が維持される以上、附随的な裁判である訴訟費用の点のみを捉えて是正することはできない。
結論
本案についての上告が採用し得ない以上、訴訟費用の裁判に関する論旨も上告適法の理由とはならず、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟法181条以下に基づく訴訟費用の負担命起訴等に対し、独立して上訴することはできず(刑訴法352条参照)、本案に対する上訴が理由ある場合にのみ是正が可能であることを明示した判例である。答案上は、訴訟費用の判断の付随的性格を説明する際に活用できる。
事件番号: 昭和30(あ)73 / 裁判年月日: 昭和32年4月5日 / 結論: 棄却
軍票の収受者又は所持者がその収受し若しくは所持する軍票を正当の理由なく他に譲り渡すなど、同条項により命ぜられた日本銀行への寄託と全く相容れない処分行為をするにおいては、その者に対しては、もはや右に命ぜられた寄託行為の如きは到底望むべくもなく、その義務違反は明らかなところであるというべきであるから、この時において、同条項…
事件番号: 昭和39(あ)1295 / 裁判年月日: 昭和40年11月26日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法二七条第一項第三号違反の罪と同法第四八条第一項に基づく命令に違反する罪とは、牽連犯ではない。
事件番号: 昭和37(あ)906 / 裁判年月日: 昭和38年12月4日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法第二七条第二項第一号は、非居住者が同号記載の費用を支弁するため本邦通貨で支払う場合を規定したものと解すべきである(昭和三六年(あ)第二五四三号同三七年一二月一八日第三小法廷決定、刑集一六巻一二号一七〇六頁参照)。
事件番号: 昭和45(あ)1296 / 裁判年月日: 昭和45年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国為替及び外国貿易管理法による支払等の制限およびこれに違反した者への刑罰規定は、公共の福祉のために必要な制限として、憲法22条1項および29条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、当時の外国為替及び外国貿易管理法(外為法)27条1項3号が禁ずる無許可の支払等を行い、同法70条7号に基づ…
事件番号: 昭和29(あ)2551 / 裁判年月日: 昭和29年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】他の同一の違反者が処罰されていないという事実のみをもって、当該被告人に対する処罰が直ちに憲法14条の平等原則に違反することにはならない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件において有罪の判決を受けたところ、弁護人が上告理由として、他の違反者が処罰されていないにもかかわらず被告人のみが処罰されるのは…