弁論再開決定のように、訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴法四三三条一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらないのであるから、本件抗告は不適法である。
弁論再開決定に対する特別抗告の適否
刑訴法331条1項,刑訴法420条1項,刑訴法433条1項
判旨
弁論再開決定は、訴訟手続に関し判決前にした決定であり、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらないため、特別抗告の対象とはならない。
問題の所在(論点)
弁論再開決定のような「訴訟手続に関し判決前にした決定」が、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となるか。
規範
刑事訴訟法433条1項の特別抗告の対象となる「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、終局的な決定又は訴訟手続の停止を伴うなど判決によっても不服を申し立てる機会がない決定を指す。したがって、訴訟手続に関し判決前にした決定はこれに含まれない。
重要事実
抗告人は、裁判所が行った弁論再開決定に対し、憲法37条1項(迅速な裁判を受ける権利)違反を理由として特別抗告を申し立てた。
あてはめ
事件番号: 昭和33(し)14 / 裁判年月日: 昭和33年5月27日 / 結論: 棄却
一 確定判決に対する再審を開始するか否かの手続は、憲法にいう「裁判の対審」に当たらない 二 刑訴法第四三五条第六号にいう「明らかな証拠」というのは証拠能力もあり証明力も高度のものをいい、被告人が弁護人に宛てた書信の如きを含まない 三 同条同号の「原判決において認めた罪より軽い罪」というのは法定刑の軽い罪をいい、心神耗弱…
本件における弁論再開決定は、訴訟手続に関し判決前にされた中間的な決定であり、終局的な判断ではない。このような決定については、最終的な判決に対する上訴の中でその当否を争う機会が残されている。したがって、刑訴法433条1項が想定する「不服を申し立てることができない決定」には該当せず、独立して特別抗告を行うことは許されない。
結論
本件抗告は不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
特別抗告の対象が限定的であることを確認する判例である。訴訟手続中の中間的な決定については、原則として判決に対する上訴(刑訴法351条以下)を通じて是正を求めるべきであり、433条の特別抗告を濫用してはならないという実務上の運用を基礎付けるものである。
事件番号: 昭和52(し)159 / 裁判年月日: 昭和53年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論再開請求却下決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:本件は、被告人側が行った弁論再開請求が裁判所によって却下されたため、当該却下決定を不服として最高裁判所に対し特別抗告を申し立…
事件番号: 昭和54(し)132 / 裁判年月日: 昭和54年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公判期日変更請求却下決定のように、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:本件の抗告人は、裁判所に対して公判期日の変更を請求したが、裁判所はこれを却下する決定(…
事件番号: 昭和43(し)70 / 裁判年月日: 昭和43年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却した決定のような「訴訟手続に関し判決前にした決定」は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:被告人が証拠決定に対して異議を申し立てたところ、裁判所がこれを…
事件番号: 昭和43(し)33 / 裁判年月日: 昭和43年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は81条を除き審級制度を規制しておらず、すべて立法の裁量にゆだねられている。したがって、刑訴法433条1項所定の場合を除き再抗告を認めないことは憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告裁判所がした決定に対し、抗告人が更なる抗告を申し立てた事案である。抗告人は、刑訴法433条1項(憲法違…