風俗営業等取締法八条は、憲法三一条、三七条に違反しない。
風俗営業等取締法八条と憲法三一条三七条
風俗営業等取締法8条,憲法31条,憲法37条
判旨
風俗営業等取締法(現:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)における罰則規定は、憲法31条(適正手続の保障)および憲法37条(公平な裁判所の迅速な公開裁判等)に違反しない。
問題の所在(論点)
風俗営業等取締法(当時)における罰則規定(8条)が、憲法31条の「法律の定める手続」および憲法37条の保障する刑事被告人の諸権利に抵触し、違憲といえるか。
規範
刑罰を科すための法律規定が憲法31条の求める罪刑法定主義ないし適正手続に反するか、あるいは憲法37条の刑事被告人の権利を侵害するかについては、先行する判例の趣旨に照らし、その規定内容が合理性を欠き不当に広範な処罰を認めるものでない限り、合憲と解される。
重要事実
上告人は、風俗営業等取締法8条に規定された罰則の適用を受けた。これに対し、弁護人は当該規定が憲法31条および37条に違反し、憲法が保障する適正な手続や刑事被告人の権利を侵害するものであると主張して、上告を申し立てた。なお、事件の具体的態様や経緯については判決文からは不明である。
事件番号: 昭和54(あ)1289 / 裁判年月日: 昭和55年12月9日 / 結論: 棄却
昭和三九年長崎県条例第六一号風俗営業等取締法施行条例二四条四号が明確性を欠き憲法三一条に違反するとの主張は、被告会社の従業員がした本件所為が右規定にいう「卑わいな行為」にあたることは明らかであり、右規定は本件に適用される限りにおいては明確性を欠くとはいえないから、前提を欠く。
あてはめ
最高裁判所昭和32年11月27日大法廷判決の趣旨を引用する。風俗営業の取締りという行政目的を達成するために設けられた罰則規定は、公共の福祉に基づく合理的な制約の範囲内である。本件の風俗営業等取締法8条の規定についても、同様の趣旨に基づき検討する。当該規定の内容は、構成要件が不明確であったり、手続的保障を欠くほど不当なものとは認められず、憲法が要求する適正手続の範囲内に留まっているといえる。したがって、違憲の主張には理由がない。
結論
風俗営業等取締法8条は憲法31条および37条に違反しない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
行政法規における罰則規定の合憲性を論じる際の先行判例として機能する。特に、風俗営業のような公共の福祉による規制が強く求められる領域において、明確性の原則や適正手続の要請がどのように具体化されるかを示す判断枠組みとして活用できる。答案上は、罪刑法定主義(憲法31条)の論証において、先例の存在を指摘する際に言及する。
事件番号: 昭和55(あ)862 / 裁判年月日: 昭和55年12月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】条例が禁止する「卑わいな行為」という規定は、当該事件の具体的行為に適用される限りにおいて、憲法31条が要求する刑罰法規の明確性の原則に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らが長崎県条例(風俗営業等取締法施行条例)24条が禁止する「卑わいな行為」に該当する行為を行ったとして起訴された事案である。被…
事件番号: 昭和27(あ)6352 / 裁判年月日: 昭和30年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律による規制は、憲法22条1項の保障する職業選択の自由を不当に圧迫するものではなく、公共の福祉による正当な制限として合憲である。 第1 事案の概要:上告人は、貸金業等の取締に関する法律(旧法)の規定が、憲法22条が保障する職業選択の自由を不当に圧迫し違憲であると主張して上告…