昭和三九年長崎県条例第六一号風俗営業等取締法施行条例二四条四号と憲法三一条
憲法31条,風俗法3条,風俗法施行条例(昭39長崎県条例61)24条4号
判旨
条例が禁止する「卑わいな行為」という規定は、当該事件の具体的行為に適用される限りにおいて、憲法31条が要求する刑罰法規の明確性の原則に違反しない。
問題の所在(論点)
条例24条に規定される「卑わいな行為」という文言が、憲法31条が要求する刑罰法規の明確性の原則に違反し、無効とならないか。
規範
刑罰法規が憲法31条の規定する適正手続の要請(明確性の原則)に反するか否かは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れるかによって判断される。ただし、適用される具体的行為が当該規定の禁止する核心部分に明白に該当する場合には、当該規定が不明確であることを理由に違憲と判断することはできない。
重要事実
被告人らが長崎県条例(風俗営業等取締法施行条例)24条が禁止する「卑わいな行為」に該当する行為を行ったとして起訴された事案である。被告人側は、同規定が不明確であり憲法31条に違反すると主張して上告した。判決文には具体的行為の態様は記述されていないが、裁判所は「本件各行為が……『卑わいな行為』にあたることは明らかである」と認定した。
あてはめ
本件における各行為は、同条例が禁止する「卑わいな行為」に該当することが客観的に明らかである。したがって、少なくとも本件のような明白な行為に適用される限りにおいては、通常の判断能力を有する一般人の視点から見て、禁止される範囲が不明確であるとはいえない。法規全体の合憲性を一般的に論じるまでもなく、本件への適用において処罰範囲が不明確であるとの前提を欠く。
事件番号: 昭和54(あ)1289 / 裁判年月日: 昭和55年12月9日 / 結論: 棄却
昭和三九年長崎県条例第六一号風俗営業等取締法施行条例二四条四号が明確性を欠き憲法三一条に違反するとの主張は、被告会社の従業員がした本件所為が右規定にいう「卑わいな行為」にあたることは明らかであり、右規定は本件に適用される限りにおいては明確性を欠くとはいえないから、前提を欠く。
結論
本件条例の規定は、本件に適用される限りにおいて、憲法31条に違反しない。
実務上の射程
本判決は、刑罰法規の明確性に関する「限定された明確性(合憲的な限定解釈の可能性)」を示唆する。答案上は、文言が抽象的であっても、具体的行為がその核心部分に該当する場合には、違憲の主張を退ける根拠として活用できる。徳島市公安条例事件(最大判昭50.9.10)の流れを汲む実務的な判断枠組みである。
事件番号: 昭和30(あ)1613 / 裁判年月日: 昭和30年12月8日 / 結論: 棄却
長野県風俗営業取締法施行条例第一八条第一号において、遊技場の営乗者または従業者が賭博に類似する行為、その他著しく射倖心をそそるような行為をしまたはさせてはならない旨を定めたのは、右取締法第三条所定の範囲を逸脱したものということはできない。
事件番号: 昭和44(あ)57 / 裁判年月日: 昭和44年10月17日 / 結論: 棄却
風俗営業等取締法八条は、憲法三一条、三七条に違反しない。