判旨
有罪判決における法令の適用の記載に関し、いかなる法令を適用して主文の判断に至ったかが客観的に判明する程度であれば、法条を羅列する形式の記載であっても刑訴法335条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
刑訴法335条1項は、有罪判決の理由に「法令の適用」を記載すべき旨を定めているが、単に適用法条を羅列するだけの記載が同条の要件を満たすか。
規範
刑訴法335条1項が求める有罪判決における「法令の適用」の記載については、いかなる法令を適用して主文の判断をするに至ったかが分かる程度の記載があれば足り、必ずしも詳細な説明を要せず、適用法条を羅列する形式であっても適法である。
重要事実
被告人に対し有罪判決が言い渡された際、第一審判決の「法令の適用」欄において、具体的な適用過程の説示ではなく、適用される法条が羅列される形式で記載されていた。これに対し弁護人は、かかる記載方法は法令の根拠が不明確であり、刑訴法335条1項に違反し、ひいては憲法31条にも反すると主張して上告した。
あてはめ
第一審判決の適条(法条の羅列)を確認すると、当該事案において裁判所がいかなる法令を根拠として主文の有罪判断を導き出したのかを十分に知ることができる状態であった。したがって、判決の法令上の根拠を告知するという同条の趣旨は達成されており、法条の羅列という形式のみをもって違法と断じることはできない。
結論
本件の判決記載は刑訴法335条1項に違反せず、憲法31条違反の主張も前提を欠くため、上告は棄却される。
実務上の射程
実務上、判決書の「法令の適用」欄は慣例的に法条の羅列で済まされることが多いが、本判決はその適法性を裏付ける根拠となる。答案上、判決書の記載不備を論じる際には、主文との論理的関連性が理解可能かという基準で本法理を引用すべきである。
事件番号: 昭和34(あ)772 / 裁判年月日: 昭和34年7月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】業務上過失致死傷罪(刑法211条)を通常の過失致死傷罪(209条・210条)より重く処罰することは、憲法14条の法の下の平等に反しない。一定の業務に従事する者の属性は、憲法14条が禁止する差別の基礎となる身分には当たらないからである。 第1 事案の概要:上告人は、業務上過失致死傷罪(刑法211条)…
事件番号: 昭和30(あ)480 / 裁判年月日: 昭和32年3月26日 / 結論: 棄却
刑法第二一一条は憲法第一四条に違反しない。