判旨
宅地建物取引業法に基づく免許を受けずに宅地建物の売買を反復継続して行う行為は、個別の取引の目的がいかなるものであっても、同法12条1項に違反する。
問題の所在(論点)
宅地建物取引業の免許を受けずに反復継続して土地の購入等を行う際、個別の取引に特定の目的が介在する場合であっても、宅地建物取引業法12条1項の無免許営業罪が成立するか。
規範
宅地建物取引業法12条1項違反(無免許営業)の成否は、免許を受けずに「宅地建物取引業」(同法2条2号)を営んだか否かによって決せられる。客観的に宅地建物の売買等を業として(反復継続の意思をもって)行っていると認められる限り、個別の取引行為が特定の主観的目的(例:自己利用目的など)に基づいていたとしても、同条の禁止する無免許営業に該当し得る。
重要事実
被告人は、宅地建物取引業の免許を受けずに、多数の土地の購入等の取引(犯罪一覧表記載の番号1ないし13の行為)を反復して行っていた。被告人側は、特定の土地(番号13)の購入について、他の取引とは異なる目的(詳細な目的内容は判決文からは不明)があったため、宅地建物取引業法違反には当たらないと主張した。
あてはめ
被告人が行った一連の土地購入行為(番号1ないし12)は、客観的に見て宅地建物取引業に該当する。番号13の土地購入について、被告人が主張するような特定の目的があったとしても、記録上の事実関係に照らせば、それは一連の無免許営業行為の一部を構成するものと認められる。したがって、当該行為を含め、全体として宅地建物取引業を営んだものと評価するのが相当である。
結論
被告人の行為は宅地建物取引業法12条1項に違反し、無免許営業罪が成立する。
実務上の射程
事件番号: 平成16(あ)1065 / 裁判年月日: 平成16年12月10日 / 結論: 棄却
民事執行法上の競売手続により宅地又は建物を買い受ける行為は,宅地建物取引業法2条2号にいう宅地又は建物の「売買」に当たる。
行政取締法規における「業として」の判断において、個別の行為の主観的目的よりも、客観的な反復継続性や一連の活動としての性質を重視する。司法試験では、無免許営業や無許可営業の成否が争われる際、被告人の主観的な弁解を排して「業」該当性を認定する際のロジックとして活用できる。
事件番号: 平成10(あ)385 / 裁判年月日: 平成10年7月14日 / 結論: 棄却
不動産競売の開始決定がされた不動産について、その売却の公正な実施を阻止するため所有者との間で右決定より前に短期賃貸借契約が締結されていた旨の内容虚偽の賃貸借契約書を裁判所に提出したときは、偽計による競売入札妨害罪が成立する。
事件番号: 昭和48(あ)970 / 裁判年月日: 昭和49年12月16日 / 結論: 棄却
宅地建物取引業法(昭和四六年法律第一一〇号による改正前のもの)一二条一項にいう「宅地建物取引業を営む」とは、営利の目的で反復継続して行う意思のもとに宅地建物取引業法二条二号所定の行為をなすことをいう。
事件番号: 昭和42(あ)1874 / 裁判年月日: 昭和43年2月1日 / 結論: 棄却
宅地建物取引業法第一二条第一項にいう「宅地建物取引業を営む」とは、反覆継続して不特定または多数の者の間に宅地建物売買等の代理もしくは媒介をする意思の下に、右行為をなすことをいい、その回数の多寡は問うところではない。