宅地建物取引業法第一二条第一項にいう「宅地建物取引業を営む」とは、反覆継続して不特定または多数の者の間に宅地建物売買等の代理もしくは媒介をする意思の下に、右行為をなすことをいい、その回数の多寡は問うところではない。
宅地建物取引業法第一二条第一項にいう「宅地建物取引業を営む」の意義
宅地建物取引業法12条1項,宅地建物取引業法24条2号
判旨
宅地建物取引業法にいう「業を営む」とは、反復継続して不特定または多数の者の間に宅地建物の売買等の代理または媒介をする意思をもって当該行為を行うことを指し、その回数の多寡は問わない。
問題の所在(論点)
宅地建物取引業法12条1項(当時。現行3条1項等参照)にいう「宅地建物取引業を営む」ことの意義、特に反復継続の意思と実施回数の関係が問題となる。
規範
宅地建物取引業法における「宅地建物取引業を営む」とは、反復継続して、不特定または多数の者の間に、宅地建物売買等の代理もしくは媒介をする意思の下に、右行為をなすことをいう。その際、実際の取引回数の多寡は判断を左右するものではない。
重要事実
被告人が宅地建物取引業法の免許を受けずに、宅地建物の売買等の媒介行為を行ったとされる事案。弁護人は、事実誤認および法令違反を理由に上告し、被告人の行為が同法にいう「業を営む」に該当しない旨を主張した。
事件番号: 昭和48(あ)970 / 裁判年月日: 昭和49年12月16日 / 結論: 棄却
宅地建物取引業法(昭和四六年法律第一一〇号による改正前のもの)一二条一項にいう「宅地建物取引業を営む」とは、営利の目的で反復継続して行う意思のもとに宅地建物取引業法二条二号所定の行為をなすことをいう。
あてはめ
判決文によれば、被告人が不特定または多数の者の間で媒介等を行う意思を有していたかどうかが重要である。本件において、原審が「反復継続して行う意思」を認定したことは正当である。一度きりの行為であっても、将来的に繰り返す意思があれば「業」に該当し得ると解されるため、実際の行為回数が少なくとも、当該意思が認められる以上、「業を営む」に該当すると評価される。
結論
被告人の行為は宅地建物取引業を営むものと認められる。したがって、無免許でこれを行ったことは同法違反となる。
実務上の射程
行政法や経済刑法における「業」の定義として汎用性が高い。行為の回数という客観的事実よりも、主観的な「反復継続の意思」を重視する点で、一回的な行為であっても処罰や規制の対象となり得ることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和59(あ)759 / 裁判年月日: 昭和60年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の代表者が、法人の業務に関し無免許で宅地建物取引業を営んだ場合、宅地建物取引業法84条(両罰規定)を適用し、同法79条2号の罪の「行為者」として処罰される。 第1 事案の概要:被告人は、株式会社Aを設立し、同社の代表者として、同社の業務に関し宅地建物取引業法3条1項の免許を受けないで宅地建物取…
事件番号: 昭和60(あ)1255 / 裁判年月日: 昭和60年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の代表者が法人の業務に関し宅地建物取引業法違反の行為をした場合、両罰規定である同法84条により、当該代表者は同法80条の罪の行為者として処罰される。 第1 事案の概要:宅地建物取引業者であるA株式会社の代表取締役である被告人は、同社の業務に関して、宅地建物取引業法47条1号に規定される重要事項…
事件番号: 昭和45(あ)1889 / 裁判年月日: 昭和46年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】職業選択の自由や営業の自由は公共の福祉のため合理的な理由があれば制限が許され、無免許での宅地建物取引業の禁止は具体的弊害発生の有無を問わず合憲である。また、宅地建物取引業法上の「宅地」とは、現に建物の敷地である土地に限らず、建物の敷地に供する目的で取引される土地を広く指称する。 第1 事案の概要:…
事件番号: 昭和44(あ)2554 / 裁判年月日: 昭和46年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】宅地建物取引業法に基づく免許を受けずに宅地建物の売買を反復継続して行う行為は、個別の取引の目的がいかなるものであっても、同法12条1項に違反する。 第1 事案の概要:被告人は、宅地建物取引業の免許を受けずに、多数の土地の購入等の取引(犯罪一覧表記載の番号1ないし13の行為)を反復して行っていた。被…