宅地建物取引業者である法人の代表者がその法人の業務に関し、宅地建物取引業法四七条に違反する行為をしたときの罰条
宅建業法47条,宅建業法80条,宅建業法84条
判旨
法人の代表者が法人の業務に関し宅地建物取引業法違反の行為をした場合、両罰規定である同法84条により、当該代表者は同法80条の罪の行為者として処罰される。
問題の所在(論点)
法人の代表者が法人の業務として業法違反行為を行った場合、当該代表者を処罰するにあたって両罰規定(宅地建物取引業法84条)の適用が必要か。
規範
法人の代表者が、法人の業務に関し、宅地建物取引業法47条1号所定の違反行為を行った場合、同法84条(両罰規定)に「その行為者を罰するほか」と定められていることにより、当該代表者は同法80条の罪の「行為者」として処罰の対象となる。
重要事実
宅地建物取引業者であるA株式会社の代表取締役である被告人は、同社の業務に関して、宅地建物取引業法47条1号に規定される重要事項の不告知等の禁止行為に該当する行為を行った。原審は、被告人に対し同法47条1号、80条のみを適用し、両罰規定である84条を適用せずに有罪判決を下した。
あてはめ
本件における違反行為の主体はA株式会社であるが、被告人は同社の代表取締役としてその業務に関し実際の違反行為を行っている。同法84条は、法人を罰するとともに「その行為者」をも罰する旨を規定しているため、本件被告人は同条を介して80条の罰則が適用されるべき「行為者」に該当する。原判決が84条を適用しなかったことは法条適用の誤りであるといえる。
事件番号: 昭和59(あ)759 / 裁判年月日: 昭和60年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の代表者が、法人の業務に関し無免許で宅地建物取引業を営んだ場合、宅地建物取引業法84条(両罰規定)を適用し、同法79条2号の罪の「行為者」として処罰される。 第1 事案の概要:被告人は、株式会社Aを設立し、同社の代表者として、同社の業務に関し宅地建物取引業法3条1項の免許を受けないで宅地建物取…
結論
被告人は、宅地建物取引業法84条に基づき、同法80条の罪の行為者として処罰される。原判決に同法84条の不適用という違法はあるが、結論において正義に反するとまではいえないため、上告を棄却する。
実務上の射程
法人の代表者が業務として行った違反行為について、代表者個人の刑事責任を問う際の根拠規定として両罰規定(本件では宅地建物取引業法84条)の適用が必須であることを示す。答案上、法人の不法行為について自然人を処罰する際の「処罰根拠(行為者性)」を基礎づける論証として活用できる。
事件番号: 昭和58(あ)287 / 裁判年月日: 昭和60年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の代表取締役が、法人の業務に関し法人の名義で他人に宅地建物取引業を営ませた場合、両罰規定に基づき、当該代表取締役を処罰規定の直接の「行為者」として処罰すべきである。 第1 事案の概要:A株式会社の代表取締役である被告人は、同社の業務に関し、同社の名義を用いて他人に宅地建物取引業を営ませた。これ…
事件番号: 昭和42(あ)1874 / 裁判年月日: 昭和43年2月1日 / 結論: 棄却
宅地建物取引業法第一二条第一項にいう「宅地建物取引業を営む」とは、反覆継続して不特定または多数の者の間に宅地建物売買等の代理もしくは媒介をする意思の下に、右行為をなすことをいい、その回数の多寡は問うところではない。
事件番号: 令和3(あ)1752 / 裁判年月日: 令和5年10月16日 / 結論: 棄却
被告人が、個人として免許を受けないで宅地建物取引業を営んだという訴因と、法人の代表者として法人の業務に関し免許を受けないで宅地建物取引業を営んだという訴因とは、個人として宅地建物取引業を営んだのか、法人の業務に関し法人の代表者としてこれを営んだのかに違いがあるとしても、被告人を行為者とした同一の建物賃貸借契約を媒介する…
事件番号: 昭和48(あ)970 / 裁判年月日: 昭和49年12月16日 / 結論: 棄却
宅地建物取引業法(昭和四六年法律第一一〇号による改正前のもの)一二条一項にいう「宅地建物取引業を営む」とは、営利の目的で反復継続して行う意思のもとに宅地建物取引業法二条二号所定の行為をなすことをいう。