民事執行法上の競売手続により宅地又は建物を買い受ける行為は,宅地建物取引業法2条2号にいう宅地又は建物の「売買」に当たる。
民事執行法上の競売手続により宅地又は建物を買い受ける行為と宅地建物取引業法2条2号にいう宅地又は建物の「売買」
宅地建物取引業法2条2号,宅地建物取引業法12条1項,宅地建物取引業法79条2号,民事執行法第2章第2節第1款第2目 強制競売,民事執行法188条
判旨
民事執行法上の競売手続により宅地又は建物を買い受ける行為は、宅地建物取引業法2条2号にいう宅地又は建物の「売買」に該当する。
問題の所在(論点)
民事執行法上の競売手続により宅地または建物を買い受ける行為が、宅地建物取引業法2条2号にいう宅地または建物の「売買」に該当するか。
規範
宅地建物取引業法2条2号に規定される「売買」には、私契約に基づく通常の取引だけでなく、民事執行法に基づく競売手続による権利の移転も含まれると解するのが相当である。
重要事実
被告人が、免許を受けることなく、民事執行法上の競売手続を通じて宅地または建物を買い受ける行為を、業として行っていた事例である。原審は、当該行為が宅地建物取引業法上の「売買」に当たり、無免許営業罪(同法79条2号、12条1項)が成立すると判断した。
事件番号: 昭和48(あ)970 / 裁判年月日: 昭和49年12月16日 / 結論: 棄却
宅地建物取引業法(昭和四六年法律第一一〇号による改正前のもの)一二条一項にいう「宅地建物取引業を営む」とは、営利の目的で反復継続して行う意思のもとに宅地建物取引業法二条二号所定の行為をなすことをいう。
あてはめ
民事執行法上の競売は、債務者の意思に関わらず国の公権力によって行われる手続ではあるが、その実態は、競落人が代金を支払い、これに対して目的物の所有権が移転するものである。したがって、実質的な経済的効果の観点からは私法上の売買と共通の性質を有しており、宅地建物取引業法が規制対象とする「売買」から除外すべき理由はない。被告人の行為は、競売手続を介した不動産の取得であり、同法の「売買」に該当すると評価される。
結論
民事執行法上の競売手続による買受けは、宅地建物取引業法2条2号の「売買」に該当し、免許なくこれを行えば無免許営業罪が成立する。
実務上の射程
本判決は、「売買」概念が公売や競売といった公的な手続も包含することを明確にした。宅建業法の規制目的(取引の公正・消費者保護)に照らし、取得経路が競売であっても、それを業として行う場合には規制が及ぶことを示した重要な判断である。答案上は、文言の形式的解釈にとどまらず、法の目的に照らした実質的な解釈を示す際に活用できる。
事件番号: 昭和44(あ)2554 / 裁判年月日: 昭和46年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】宅地建物取引業法に基づく免許を受けずに宅地建物の売買を反復継続して行う行為は、個別の取引の目的がいかなるものであっても、同法12条1項に違反する。 第1 事案の概要:被告人は、宅地建物取引業の免許を受けずに、多数の土地の購入等の取引(犯罪一覧表記載の番号1ないし13の行為)を反復して行っていた。被…
事件番号: 令和3(あ)1752 / 裁判年月日: 令和5年10月16日 / 結論: 棄却
被告人が、個人として免許を受けないで宅地建物取引業を営んだという訴因と、法人の代表者として法人の業務に関し免許を受けないで宅地建物取引業を営んだという訴因とは、個人として宅地建物取引業を営んだのか、法人の業務に関し法人の代表者としてこれを営んだのかに違いがあるとしても、被告人を行為者とした同一の建物賃貸借契約を媒介する…
事件番号: 昭和60(あ)93 / 裁判年月日: 昭和63年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】宅地建物取引業者が自ら購入者となる取引についても、規制を及ぼさなければ取引の公正が害される等の弊害が生ずるおそれがあるため、宅地建物取引業法による規制は憲法22条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は宅地建物取引業者であったが、自ら宅地又は建物の購入者となる取引を行った。この際、宅地建物取…
事件番号: 昭和45(あ)1889 / 裁判年月日: 昭和46年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】職業選択の自由や営業の自由は公共の福祉のため合理的な理由があれば制限が許され、無免許での宅地建物取引業の禁止は具体的弊害発生の有無を問わず合憲である。また、宅地建物取引業法上の「宅地」とは、現に建物の敷地である土地に限らず、建物の敷地に供する目的で取引される土地を広く指称する。 第1 事案の概要:…