宅地建物取引業法についての違憲の主張が欠前提処理された事例
宅建業法12条1項,宅建業法79条2号
判旨
宅地建物取引業者が自ら購入者となる取引についても、規制を及ぼさなければ取引の公正が害される等の弊害が生ずるおそれがあるため、宅地建物取引業法による規制は憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
宅地建物取引業者が自ら購入者となる場合についても宅地建物取引業法による規制を及ぼすことが、憲法22条1項(職業選択の自由)に抵触し、不当な制限とならないか。
規範
職業の自由(憲法22条1項)に対する制約が許容されるか否かは、その制限が公共の福祉のために必要かつ合理的なものであるかによって判断される。特に、取引の公正を確保し、購入者等の利益を保護するという目的のための規制は、その必要性・合理性が認められる限り合憲である。
重要事実
被告人は宅地建物取引業者であったが、自ら宅地又は建物の購入者となる取引を行った。この際、宅地建物取引業法に基づく規制(無免許営業の禁止等)が、業者が自ら購入者となる場合にまで及ぶことの是非、および当該規制が憲法22条1項(職業選択の自由)や憲法31条に違反するかが争点となった。なお、具体的な犯跡や詳細な取引内容は判決文からは不明である。
あてはめ
宅地建物取引業者が自ら購入者となる場合であっても、これを全くの自由(野放し)にすれば、不動産取引の専門家としての地位を悪用し、適正な取引秩序を乱すなどの弊害が生ずるおそれがある。このような弊害を防止し、社会公共の利益を保護するために取引を規制することは、公共の福祉に合致する正当な目的によるものである。したがって、当該規制は職業の自由に対する必要かつ合理的な制限の範囲内にあるといえる。
事件番号: 昭和45(あ)1889 / 裁判年月日: 昭和46年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】職業選択の自由や営業の自由は公共の福祉のため合理的な理由があれば制限が許され、無免許での宅地建物取引業の禁止は具体的弊害発生の有無を問わず合憲である。また、宅地建物取引業法上の「宅地」とは、現に建物の敷地である土地に限らず、建物の敷地に供する目的で取引される土地を広く指称する。 第1 事案の概要:…
結論
宅地建物取引業者が購入者となる場合を規制対象とすることは、憲法22条1項、憲法31条に違反しない。
実務上の射程
宅建業法の規制対象が「取引の相手方の保護」のみならず「取引の公正の確保」という客観的な秩序維持にもあることを示す射程を持つ。答案上は、営業規制の合憲性判定において、専門的知見を持つ者に対する規制の必要性を基礎づける際に活用できる。
事件番号: 昭和48(あ)970 / 裁判年月日: 昭和49年12月16日 / 結論: 棄却
宅地建物取引業法(昭和四六年法律第一一〇号による改正前のもの)一二条一項にいう「宅地建物取引業を営む」とは、営利の目的で反復継続して行う意思のもとに宅地建物取引業法二条二号所定の行為をなすことをいう。
事件番号: 昭和37(あ)2317 / 裁判年月日: 昭和39年5月23日 / 結論: 棄却
弁護人の憲法第三九条違反を主張する点は、刑罰法規については憲法第三九条によつて事後法の制定は禁止されているけれども、民事法規については憲法は法律がその高価を遡及せしめることを禁止していないことは、当裁判所判例(昭和二三年(オ)第一三七号同二四年五月一八日大法廷判決、民集三巻六号一九九頁)とするところであつて、所論の宅地…
事件番号: 平成16(あ)1065 / 裁判年月日: 平成16年12月10日 / 結論: 棄却
民事執行法上の競売手続により宅地又は建物を買い受ける行為は,宅地建物取引業法2条2号にいう宅地又は建物の「売買」に当たる。
事件番号: 昭和55(あ)1803 / 裁判年月日: 昭和57年9月9日 / 結論: 破棄差戻
宅地建物取引業法一三条一項、七九条三号は、自己の名義をもつて他人に宅地建物取引業を営ませる行為につき、その相手方が右取引業を営む免許を受けていると否とにかかわりなく、一律にこれを禁止、処罰する趣旨である。